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解説

【STOP!】「今回だけですよ」は法令違反の恐れあり(要確認)

【STOP!】「今回だけですよ」は法令違反の恐れあり(要確認)

地方公務員の皆さんは、いつも誰のために仕事をしていますか?

多くの人は、住民のために仕事をしていると思います。地方公務員は、住民と密接に関わる仕事が多いので、しばしば大変な思いをしますよね。

例えば、遠くから時間を費やして来庁した住民に「どうにかなりませんか、遠くからきて今日しかチャンスがないんですよ」と困窮して泣きつかれたときに「今回だけですよ」と住民のために妥協している場面があったりします。

大変な思いをしている住民を助けているのですから、立派……と言いたいところですが、実はその行為は、法令違反の可能性があります。

また、直接的に法令違反していないように思えても、組織(上司)のルールを破ってしまっている場合は、服務規律違反に問われる可能性もあるのです。

「でも少し緩いくらいが住民のためなんじゃないの?」と疑問に思っている方もいると思いますので、この記事で取り上げていきます。

「今回だけですよ」は法令違反の恐れあり

地方公務員の業務は、法令に規定されたものが多いですが、地方公共団体に委ねられたものも多数存在します。

地方公共団体に委ねられた業務は、首長や任命権者、各職員に裁量が与えられますが、疑義が生じる可能性のあるものについては、あらかじめ基準等を定め、公表するのが一般的です。

このため、住民からの届出や申請に対するリアクションは、法令又はあらかじめ定められた基準に照らし合わせて公正に判断するべきであり、「今回だけですよ」は原則存在しないはずです。

万が一全く想定外な事件であったとしても、総合的な勘案を行った上で、今後の規範となる判断をすべきであり、「今回だけですよ」はルール違反です。

また、知識がないために法令や基準から逸脱した判断をしている場合は、義務を欠いていることとなり、法令・服務規律違反として懲戒処分を受ける可能性もあります。

判断は、慎重に行うようにしなくてはいけませんね。

関連記事:【解説】懲戒処分をわかりやすく解説(戒告・減給・停職・免職)

法的義務と努力義務

義務には、必ず守らなければならない法的義務(単に『義務』という場合もある)と、できる限り守ることが求められる努力義務があります。

法的義務は法的拘束力があり、守らなければ法令に違反することとなりますが、努力義務は法的拘束力がなく、罰則等の規定はありません。

皆さんの業務の中で『住民に○○を提出させるように』と決められているものがあれば、提出させる根拠を確認してみましょう。

法的義務として提出させなければならないのであれば、裁量で免除することはできません。しかし、努力義務であれば、組織として判断することができますので、基準がなければ定めるようにしましょう。

なお、法的義務と努力義務は、次のような文言の違いがあります。

  • 法的義務:○○しなければならない。○○してはならない。○○することができない。
  • 努力義務:○○努めなければならない。○○努めるものとする。

例:戸籍・住民票の交付は確認する法的義務がある

1番ありがちな法的義務違反は、戸籍証明書や住民票の交付の際に、本人確認を疎かにすることではないでしょうか?

戸籍証明書は戸籍法及び法務省令に、住民票は住民基本台帳法及び総務省令にそれぞれ確認義務規定が置かれています。

この確認義務を果たさずに交付を行った場合、誤って他人の証明書類を発行して個人情報が流出してしまうことや、詐欺等の犯罪に使用されてしまうことが考えられます。

義務を果たさないことで、住民のために確認を省いたつもりが、住民の利益を大きく損なう結果を招いてしまうというわけです。

結局法令遵守が1番住民のためになれる

住民と1番近くで接する窓口職員等においては、目の前の困っている住民を満足させることが、最適解であると考えてしまいがちです。

しかし、気持ちは痛いほどわかりますが、法令において課されている義務には必ず意味があり、守らなければ誰かが不利益を被る可能性があります。

あらかじめ定められた基準の多くも、同様であると捉えて問題ないでしょう。

住民のために業務を遂行するためには、住民目線ではなく、行政目線で住民のことを1番に想い、法令を遵守した行動が求められるのだと私は思います。


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