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解説

【会計年度任用職員】事務補助職員の約7割が時給1,000円以下(総務省調査)

【会計年度任用職員】事務補助職員の約7割が時給1,000円以下(総務省調査)

地方公務員法及び地方自治法の一部改正により、令和2年4月1日から施行された会計年度任用職員制度について、総務省において行われた状況調査の結果が令和2年12月21日付けで公表されました。

この調査結果を見る限り、非常勤職員が会計年度任用職員に変わった今も、官製ワーキングプアの大量生産が続いていると言わざるを得ません。

会計年度任用職員制度は、地方行政の重要な担い手である非常勤職員について、法や通知等によって統一的な取扱を示すことで、制度的な基盤を構築することが趣旨の制度です。

これをわかりやすく言い換えると『どこの自治体も同じようなルールで任用しましょうね』ということであり、新制度下においても官製ワーキングプアから脱却できていないことを考えると、今後も改善される見込みは少ないかなと思います。

さて、ここからは、総務省において行われた状況調査の結果の中から、ポイントとなる情報を5つ紹介していきます。

現在会計年度任用職員としてご活躍の方、今後会計年度任用職員として働くことをお考えの方、人事担当者として制度設計を考える方などに見ていただきたい内容です。

今後の行動を考える上で必要な情報だと思いますので、どうぞご確認ください。

事務補助職員の約7割が時給1,000円以下

事務補助職員の約7割が時給1,000円以下

全国の地方公共団体において、最も多く会計年度任用職員として任用されているのが『事務補助職員』です。全体の約7割の団体で任用されています。

H28年度の同調査結果においては、事務補助職員に対する平均報酬は時給換算で919円だったのに対し、今回の調査では990円に増加していますが、全国の約7割の団体が、時給換算で1,000円以下の給与水準です。

今までの制度とは異なり、会計年度任用職員は経験年数等を加味した給与決定ができるため、この程度の増加額では余りにも足りないはずです。

職務の内容や責任の度合いによって給与水準を決定するのが基本的な考え方ですが、例えば、新採用正規職員に会計年度任用職員が業務を全て教えているのに、給料は新採用正規職員の方が高いなんてことはありませんか?

おかしいですよね、ぜひとも給与水準の見直しをしてほしいと思います。

非常勤職員が5.1万人増加(H28比較)

非常勤職員が5.1万人増加(H28比較)

非常勤職員は年々増え続けていますが、H28年と比較して5.1万人増加しており、約8%の増加率です。

この増加は、業務量の増加等により単に増加しただけではなく、正規職員数の減少が原因の1つであると考えられます。

正規職員数が減少する一方で非常勤職員数が増加しているということは、今まで正規職員が担っていた業務の一部を非常勤職員が担っているということであり、確実に職務の内容は変化しているはずです。

それにも関わらず、『非常勤職員』であることだけを理由に、給与を低水準に設定しているのであれば、改善してほしいと思います。

37時間30分以上のパートタイム

37時間30分以上のパートタイム

会計年度任用職員は、フルタイムとパートタイムとでは待遇が異なります。例えば、フルタイムであれば退職手当が支給されるのに対し、パートタイムでは支給されません。

つまり、地方公共団体にとっては、パートタイムで任用する方が財政上は都合が良いです。

では、フルタイムとパートタイムの分かれ目はどこになるのかと言うと、正規職員よりも勤務時間が1分でも短ければパートタイムとなります。

1日7時間45分勤務ならフルタイム、7時間44分ならパートタイムという事です。

国は通知において、『単に勤務条件の確保等に伴う財政上の制約を理由として、合理的な理由なく短い勤務時間を設定し、現在行っているフルタイムでの任用について抑制を図ることは、適正な任用・勤務条件の確保という法改正の趣旨に沿わない』と示しています。

それにも関わらず、1日の勤務が15分短いだけのパートタイム会計年度任用職員が、全体の1割以上を占めています。

社会教育施設の受付業務など、勤務時間に合理性がある場合ならまだしも、これは明らかに財政上の措置と考えざるを得ません。

すぐにでも改善してほしいと思います。

期末手当を支給しない自治体も存在

期末手当を支給しない自治体も存在

極々僅かな団体数ではありますが、会計年度任用職員に対する期末手当を支給していないところがありました。

確かに、国の通知の中でも、期末手当は『支給できる』とされており、必ず支給しなければならないというわけではありません。

しかし、過去には手当支給の適法性が争われた判例も存在し、勤務時間が正規職員の4分の3以上など、相当の勤務時間を要する会計年度任用職員に対しては、期末手当を支給するのが基本的な考え方です。

国から期末手当増加分の財政措置がされる見込みとなりましたので、ぜひすぐにでも改善してほしいと思います。

制度改正前より給与水準が下がった

制度改正前より給与水準が下がった

これに関しては、元々の給与水準が何らかの理由で高くなり過ぎていたのであれば、一概に悪いとは言えません。

しかし、財政的な理由によって単に給与水準が下げられたのであれば、由々しきことです。

また、期末手当で増加する分の財源を、例月給与額を減額することで確保している団体も少なくありませんが、人事院勧告によって期末手当支給率が減少した結果、年収ベースで水準を下げてしまったケースもあるようです。

このように、給与水準を下げてしまっては、なんのために制度改正を行ったのかわかりませんので、すぐにでも改善してほしいと思います。

年功序列&終身雇用の弊害

年功序列&終身雇用の弊害

私も人事担当者として、所属する地方公共団体の会計年度任用職員制度の設計に関わりました。

いくつかの会議に出る中で、『年収ベースで保障すれば十分だから、期末手当分の月例給与は下げる』という主張は何度も聞いており、財政面だけを考えれば、ある意味合理的なのかもしれません。

しかし私は、『月例だけでは足りない、時給単位で報酬を下げずに+期末手当を支給しましょう』と提案し続けました。

なぜなら、非常勤職員と正規職員で業務内容が全く変わらないことを理解していたからです。

当然に上司も同様に理解していたため、何度か説得するうちに、時給ベースで保証し、期末手当分の増加を確保することできました。

このような非常勤職員の給与を上げたくないという考え方は、年功序列と終身雇用の弊害ではないかと私は思っています。

『長く務めているから偉い』『正規職員だから偉い』という考え方が中心にあるために、非常勤職員を蔑ろにしているのではないでしょうか。

本来であれば、地域のために同じ志で同じ仕事をしているのであれば、老若男女・常勤非常勤問わず、同じ報酬が支払われる世の中であって欲しいなと思います。

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外部リンク:会計年度任用職員制度等に関する調査結果(施行状況の概要等)(総務省)

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