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解説

【解説】時間外勤務手当等をわかりやすく解説(支給率・単価・休日・夜間)

【解説】時間外勤務手当等をわかりやすく解説(支給率・算出単価)

こんにちは、地方公務員.comのリムクロです。

この記事では、時間外勤務手当等についてわかりやすく解説していきます。

地方公務員の皆さんの勤務時間は条例で定められており、所属長の命令に従って、勤務時間外に勤務する場合は、時間外勤務手当が支給されます。

また、休日に勤務した場合には休日勤務手当、夜間(夜10時〜翌朝5時)に勤務した場合には夜間手当が支給されます。(この記事では一括にして「時間外勤務手当等」と呼びます。)

時間外勤務手当等については、入庁1年目から、多くの方が支給されていると思いますので、概要について知っている方は多いはずです。

しかし、給与や庶務を担当したことが無ければ、詳しく理解している方は少ないと思います。

詳しく理解していないということは、支給された手当が正しいのかどうかがわからないということなので、ひょっとしたら損をしているかもしれません。

そのような損をしないように、時間外勤務手当等について知っておいた方が良い情報を、わかりやすく解説していきます。

時間外勤務手当等とは?

時間外勤務手当等とは?

初めに、時間外勤務手当、休日勤務手当及び夜間手当について、概要を解説していきます。

手当が支給される要件や、支給率については、それぞれ異なりますので、混同・混合しないように理解しておきましょう。

時間外勤務手当

正規の勤務時間外に勤務を命ぜられた場合に支給される手当です。

時間外勤務手当は、次のような計算式で算出されます。

【時間単価×支給率×時間数】

時間単価は、固定的な給与月額(給料・地域手当・月額で支給される特殊勤務手当等)を年間ベースの勤務時間数で割り返したものが使用されます。このため、月の勤務日数によって時間単価が変動することはありません。

支給率は、勤務日・週休日、日中・夜間、60時間超有無、振替有無によって区分され、それぞれ異なる支給率が設定されています。

時間数は、各支給区分ごとに、それぞれ1月単位で時間数を集計します。集計後に1時間に満たない分の端数処理は、30分以上繰り上げ、30分未満切り捨てが一般的です。

休日勤務手当

休日に勤務を命ぜられた場合に支給される手当です。ただし、所定労働時間外の労働については、時間外勤務手当の対象となります。(定時が『8:30~17:15』なら、『〜8:30』と『17:15〜』は時間外勤務手当)

休日とは、国民の休日や年末年始(12/29〜1/3)のように、正規の勤務時間においても勤務を要しない日のことを言い、これらは全て、条例で定められています。

また、休日と週休日が重複する場合は、週休日が優先されるため、休日勤務手当の支給対象外となり、時間外勤務手当の対象となります。

なお、代休日が指定された場合は、休日勤務手当の支給はありません。

休日勤務手当は、次のような計算式で算出されます。

【時間単価×1.35×時間数】

時間単価は、固定的な給与月額(給料・地域手当・月額で支給される特殊勤務手当等)を年間ベースの勤務時間数で割り返したものが使用されます。このため、月の勤務日数によって時間単価が変動することはありません。

支給率は1.35(135/100)で固定されています。

時間数は、1月単位で時間数を集計します。集計後に1時間に満たない分の端数処理は、30分以上繰り上げ、30分未満切り捨てが一般的です。

夜間手当

正規の勤務時間として、夜間(夜10時〜翌朝5時)に勤務した場合に支給される手当です。

時間外勤務手当や休日勤務手当とは異なり、正規の勤務時間であっても手当が支給されます。

消防士、警察官、医師、看護師、保育士など、正規の勤務時間として2交代制や3交代制が取り入れられている職種において支給される手当です。

夜間手当は、次のような計算式で算出されます。

【時間単価×0.25×時間数】

時間単価は、固定的な給与月額(給料・地域手当・月額で支給される特殊勤務手当等)を年間ベースの勤務時間数で割り返したものが使用されます。このため、月の勤務日数によって時間単価が変動することはありません。

支給率は0.25(25/100)で固定されています。

時間数は、1月単位で時間数を集計します。集計後に1時間に満たない分の端数処理は、30分以上繰り上げ、30分未満切り捨てが一般的です。

時間外勤務手当等の支給率

時間外勤務手当等の支給率

上述のように、時間外勤務手当等の支給率は、『0.25〜1.75』の範囲でたくさんの種類が規定されています。これを全て覚えるのは非常に大変なので、次のような表を参照するのがわかりやすいでしょう。

なお、表から読み取るのが苦手な方もいますので、全パターンを書き出しておきます。

60時間以内
  • 勤務日・時間外・夜間以外 → 125/100
  • 勤務日・時間外・夜間 → 150/100
  • 勤務日・時間内・夜間 → 25/100(夜間手当)
  • 週休日・夜間以外 → 135/100
  • 週休日・夜間 → 160/100
  • 休日・時間内 → 135/100(休日勤務手当)
  • 休日・時間外・夜間以外 → 135/100
  • 休日・時間外・夜間 → 160/100
  • 振替・同一週 → 手当支給なし
  • 振替・同一週外 → 25/100
60時間超以降
  • 勤務日・時間外・夜間以外 → 150/100
  • 勤務日・時間外・夜間 → 175/100
  • 勤務日・時間内・夜間 → 25/100(夜間手当)
  • 週休日・夜間以外 → 150/100
  • 週休日・夜間 → 175/100
  • 休日・時間内 → 135/100(休日勤務手当)
  • 休日・時間外・夜間以外 → 150/100
  • 休日・時間外・夜間 → 175/100
  • 振替・同一週 → 手当支給なし
  • 振替・同一週外 → 50/100

※ここに挙げたのは一般的な例であり、労働基準法を下回らない形で独自の支給率を設けている自治体もあります。

不適切な時間単価の算定が行われている自治体がある

不適切な時間単価の算定が行われている自治体がある

時間単価の算定に当たっては、労働基準法第37条及び労働基準法施行規則第21条の規定によって、『賃金に算入しない』と規定されているものを除いては、全て含まれることとなります。

しかし、実際には、これらが強行規定であるにも関わらず、自治体によって解釈がバラバラであり、不適切な状態の自治体が見受けられます。

例えば、労働基準法において平成11年まで算入が認められていた『住宅手当(住居手当)』が未だに含まれている自治体や、月額で支給されている特殊勤務手当が算入されていない自治体が存在するのです。

『公務員は労働基準法が適用されない』と認識している方も多いと思いますが、実際には一部の条項が適用除外されているに過ぎません。当該規定は地方公務員に対して適用されます。

つきましては、時間単価を算定するに当たっては、労働基準法等に基づいた適切な方法を取り、自治体によって不平等が生じないようにする必要がありますので、お勤めの自治体において不適切な状態が見受けられる場合は、給与担当に問合せしてみましょう。

労働基準法(一部抜粋)

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
② 前項の政令は、労働者の福祉、時間外又は休日の労働の動向その他の事情を考慮して定めるものとする。
③ 使用者が、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項ただし書の規定により割増賃金を支払うべき労働者に対して、当該割増賃金の支払に代えて、通常の労働時間の賃金が支払われる休暇(第三十九条の規定による有給休暇を除く。)を厚生労働省令で定めるところにより与えることを定めた場合において、当該労働者が当該休暇を取得したときは、当該労働者の同項ただし書に規定する時間を超えた時間の労働のうち当該取得した休暇に対応するものとして厚生労働省令で定める時間の労働については、同項ただし書の規定による割増賃金を支払うことを要しない。
④ 使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
⑤ 第一項及び前項の割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金は算入しない。

労働基準法施行規則(一部抜粋)

第二十一条 法第三十七条第五項の規定によつて、家族手当及び通勤手当のほか、次に掲げる賃金は、同条第一項及び第四項の割増賃金の基礎となる賃金には算入しない。
一 別居手当
二 子女教育手当
三 住宅手当
四 臨時に支払われた賃金
五 一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

サービス残業は悪しき文化

サービス残業は悪しき文化

ここまで時間外勤務手当等について解説してきましたが、最後にサービス残業が悪しき文化である旨をお伝えしたいと思います。

皆さんは、いわゆるサービス残業をしたことがありますか?サービス残業は、労働者である職員自らが自らの意思によって、手当支給手続きを行わないことを言います。つまり、客観的には『勝手にやったこと・申請漏れ』です。

時間外勤務手当等の支給を受けるためには、『勤務命令』が必要となりますが、これは必ずしも明示する必要はなく、勤務せざるを得ない状況であれば、黙字の命令がなされたことと解釈されます。

担当業務について残務量と期限のバランスが著しく崩れていれば、時間外勤務を行うのは必然的ですので、労働の対価として割増賃金を支給するのは当然のことです。

それにも関わらず、サービス残業する要因としては、次のようなことが考えられます。

  • 予算が限られている
  • 自分の業務進行速度に自信がない
  • ミスをした直後である
  • 所属長と不仲である
  • 休暇取得の前後である
  • 周りにサービス残業をする人がいる

これらは、誰にでも当てはまる可能性のある状況です。しかし、当てはまるからと言って、手当を支給しなくて良い理由にはなりませんし、職員が自らを犠牲にしてサービス残業する必要はありません。

また、サービス残業をすることで次のようなデメリットがあります。

  • 業務量に対して人員不足になる
  • 時間外勤務手当等に充てられる予算不足になる
  • 本来の業務量が把握されず、さらに増加する
  • 人事評価において業績が認められにくい
  • 本来得られる手当が得られない
  • ストレスチェックや健康診断でフォローできない

これらのデメリットは、悪循環を繰り返します。

部署としては、人員や予算が増加しないどころか減少する可能性もあります。業務量は増えていくでしょう。これを受けた次世代の職員は、少ない人員と予算で大量の業務をこなすことになります。

職員個人としても、努力して時間外勤務等を行っているにも関わらず、人事評価や収入面で損をするばかりか、健康面にも悪影響が出てしまいます。

それにも関わらず、なぜサービス残業を繰り返すのでしょうか?

サービス残業は悪しき文化です。国家公務員においてもサービス残業が是正されました。

地方公務員においてもサービス残業を無くす努力をしましょう!

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