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解説

【解説】地方公共団体の事務分掌(業務分担)の仕組み

【解説】地方公共団体の事務分掌(業務分担)の仕組み

地方公務員の皆さんは、所属部署の業務範囲をどのような方法で理解していますか?

市役所でも警察署でも消防署でも、必ず業務分担があります。

この業務分担を理解していないと、突発的な業務が発生したときに、適切な対応ができません。

住民から『たらい回しにされた』とクレームが入る原因にもなってしまいます。

もちろん、業務の全てをあらかじめ定めているわけではありませんが、大概の業務は定められているものです。

所属部署の業務なのにもかかわらず、他部署に聞きに行くようなことがあれば、赤っ恥をかいてしまいます。

そういった行動をしていては、出世にも関わってくるため、ぜひ確認しておきましょう。

以下、この記事では、地方公共団体の事務分掌(業務分担)について解説していきます。

地方公共団体の業務分担は例規で定められている

地方公共団体の業務分担は例規で定められている

地方公共団体の事務は、大抵首長の権限に属しています。

しかし、当然ながら首長が全ての事務を行うことはできないため、事務を分掌させるための内部組織を設けることができます。

この内部組織が、部・局・室・課・係等の部署であり、そこに所属する職員です。

これらの根拠は地方自治法第158条に規定されており、内部組織及び事務分掌は、例規で定めるのが一般的です。

条例で定めなければならないもの

条例で定めなければならないもの

中でも、内部組織のトップ(長の直近下位)である部等については、条例で定める必要があります。

その他の部署については、規則で定める場合が多いです。

例えば、新潟県の場合だと『新潟県部制条例』で知事の直近下位である部の名称と事務分掌を定め、『新潟県行政組織規則』で局以下の名称と事務分掌を定めています。

また、新潟市の場合だと『新潟市事務分掌条例』で市長の直近下位である部・局・課の名称と事務分掌を定め、『新潟市行政組織規則』でその他部署の名称と事務分掌を定めています。

なお、新潟市は指定都市のため、地方自治法第252条の20に規定に基づき『新潟市区役所事務分掌条例』で区役所の事務分掌を定めています。

このように、部・局・室・課・係等の名称と事務分掌は、条例及び規則に規定されているため、必ず確認するようにしましょう。

規定されていない業務はどうする?

規定されていない業務はどうする?

事務分掌を定める条例及び規則に規定されていない事項については、その業務を行う妥当性がある部署が行いますが、どの部署にも該当しない業務が時々あります。

こういった未分類業務が発生したときには、対応する部署があらかじめ決まっていることが多いです。

例えば、新潟県の場合ですと『他部の所管に属しない事項』は『総務管理部』の事務と定められています。

また、各部の中でも当然未分類業務が発生することがありますが、各部の『主管課』が『部内各課の連絡調整に関する事項及び部内他課に属しない事項を処理するものとする。』と定められています。

従って、最終的に貰い手の無い業務は、総務管理部の主管課である財政課が担当することになるのです。

事務分掌の見直しで業務改善を

事務分掌の見直しで業務改善を

事務分掌は、一度定めてしまうとなかなか見直すことが無く、『この業務なんでうちの業務なの?』なんてことも少なくありません。

特に、部を跨いでしまうと条例改正の必要性が生じるため、なおさら業務の付け替えは困難なものとなります。

しかし、適正な事務分掌にすることは、簡素かつ効率的な事務を実現するために必要なことであり、地方自治法第158条第2項に規定されていることからも、十分配慮しなくてはなりません。

住民視点に立っても、組織が簡素で分かりやすいことは、煩わしさを排除するメリットがあり、住民満足度の向上に繋がります。

このため、機会があるごとに事務分掌を見直し、業務改善を図ることは重要であると言えます。

地方自治法関係条文抜粋

第百五十八条 普通地方公共団体の長は、その権限に属する事務を分掌させるため、必要な内部組織を設けることができる。この場合において、当該普通地方公共団体の長の直近下位の内部組織の設置及びその分掌する事務については、条例で定めるものとする。
② 普通地方公共団体の長は、前項の内部組織の編成に当たつては、当該普通地方公共団体の事務及び事業の運営が簡素かつ効率的なものとなるよう十分配慮しなければならない。

(総合区の設置)
第二百五十二条の二十の二 指定都市は、その行政の円滑な運営を確保するため必要があると認めるときは、前条第一項の規定にかかわらず、市長の権限に属する事務のうち特定の区の区域内に関するものを第八項の規定により総合区長に執行させるため、条例で、当該区に代えて総合区を設け、総合区の事務所又は必要があると認めるときはその出張所を置くことができる。
2 総合区の事務所又はその出張所の位置、名称及び所管区域並びに総合区の事務所が分掌する事務は、条例でこれを定めなければならない。
3 総合区にその事務所の長として総合区長を置く。
4 総合区長は、市長が議会の同意を得てこれを選任する。
5 総合区長の任期は、四年とする。ただし、市長は、任期中においてもこれを解職することができる。
6 総合区の事務所の職員のうち、総合区長があらかじめ指定する者は、総合区長に事故があるとき又は総合区長が欠けたときは、その職務を代理する。
7 第百四十一条、第百四十二条、第百五十九条、第百六十四条、第百六十五条第二項、第百六十六条第一項及び第三項並びに第百七十五条第二項の規定は、総合区長について準用する。
8 総合区長は、総合区の区域に係る政策及び企画をつかさどるほか、法律若しくはこれに基づく政令又は条例により総合区長が執行することとされた事務及び市長の権限に属する事務のうち主として総合区の区域内に関するもので次に掲げるものを執行し、これらの事務の執行について当該指定都市を代表する。ただし、法律又はこれに基づく政令に特別の定めがある場合は、この限りでない。
一 総合区の区域に住所を有する者の意見を反映させて総合区の区域のまちづくりを推進する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
二 総合区の区域に住所を有する者相互間の交流を促進するための事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
三 社会福祉及び保健衛生に関する事務のうち総合区の区域に住所を有する者に対して直接提供される役務に関する事務(法律若しくはこれに基づく政令又は条例により市長が執行することとされたものを除く。)
四 前三号に掲げるもののほか、主として総合区の区域内に関する事務で条例で定めるもの
9 総合区長は、総合区の事務所又はその出張所の職員(政令で定めるものを除く。)を任免する。ただし、指定都市の規則で定める主要な職員を任免する場合においては、あらかじめ、市長の同意を得なければならない。
10 総合区長は、歳入歳出予算のうち総合区長が執行する事務に係る部分に関し必要があると認めるときは、市長に対し意見を述べることができる。
11 総合区に選挙管理委員会を置く。
12 第四条第二項の規定は第二項の総合区の事務所又はその出張所の位置及び所管区域について、第百七十五条第二項の規定は総合区の事務所の出張所の長について、第二編第七章第三節中市の選挙管理委員会に関する規定は前項の選挙管理委員会について準用する。
13 前条第七項から第十項までの規定は、総合区について準用する。
14 前各項に定めるもののほか、指定都市の総合区に関し必要な事項は、政令でこれを定める。

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