地方公務員の給与・年収について(解説)

地方公務員の給料額は、国家公務員の給料に準拠する形で設定されており、国家公務員の給料は、民間企業従業員の給与水準と均衡させることを基本として(民間準拠)、同じ条件(役職段階、勤務地域、学歴、年齢階層)にある者同士の官民の給与を比較した上民間企業の一般的な収入を元に算出されています。

簡単に言うと、民間企業で働いた場合と同じだけの給料が支給されているということです。

ただし、中小企業に勤める方の人数が全体の約70%を占める日本では、公務員は比較的高水準の給料を支給されることとなります。

このページでは、地方公務員の給料・手当の仕組みと年収額について詳細にお伝えいたします。

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給与の仕組み

地方公務員の給与は、地方公務員法第24条第5項の規定に基づき条例で定めることとなっています。条例は議会において決定する議決事項であり、首長の単独で定めることはできませんので、適正に規定することができます。

給与の内訳は給料と諸手当ですが、支給の決定方法はなかなか複雑なものとなっています。

給料表

地方公務員の給料は、条例に規定する給料表における「級」と「号俸」の組合せで決定され、支給されます。級は1~8級、号俸は1~125程度で定められており、1級10号俸や3級55号俸などと表現します。

給料表は次のように職種ごとに設けられており、全ての給料表の全ての級号俸に、対応する金額が定められており、それが職員に1月に支払われる給料額となります。

・ 行政職給料表(事務・税務・建築・土木・福祉 他)

・ 医療職給料表⑴(医師・歯科医師)

・ 医療職給料表⑵(薬剤師・栄養士・臨床検査技師 他)

・ 医療職給料表⑶(保健師・助産師・看護師 他)

・ 消防職給料表

・ 警察職給料表

・ 教育職給料表

※ 例示を示しましたので、こちらを御覧ください。

初任給の決定

一番最初に支給される給料は初任給です。

初任給は、次のように算出した級号俸のうち、一番職員にとって有利なものが適用されます。

※ 公務員の号俸は、3か月で1号俸(1年間で4号俸)で計算するのが一般的です。

学歴

最終学歴の区分によって、級号俸が異なります。

例えば行政職であれば次のようになります。

・ 高校卒業者 1級15号俸

・ 短大卒業者 2級4号俸

・ 大学卒業者 2級15号俸

資格区分

有している資格区分によって、級号俸が異なります。

例えば医療職⑶であれば次のようになります。

・ 准看護師 1級15号俸

・ 看護師 2級11号俸 (1級31号俸相当)

・ 保健師・助産師 2級17号俸

年齢区分

採用された年齢によって、最低保証される級号俸が異なります。

例えば次のとおりです。

・ 18歳 1級1号俸

・ 19歳 1級5号俸

(略)

・ 25歳 1級29号俸

(略)

・ 35歳 2級17号俸

(略)

・ 40歳 2級33号俸

経験年数(加算)

初任給を決定する際には、様々な経験年数が加味されることとなります。

例えば、次のとおりです。

・ 同職種の公務員 換算率100分の100

・ 別職種の公務員 換算率100分の80

・ 同職種の民間員 換算率100分の100

・ 別職種の民間員 換算率100分の80

・ 修学期間 換算率100分の100

・ 無職期間 換算率100分の30

修学年数(加算・減算)

初任給を決定する際には、修学年数が加味されることとなります。

例えば、大学卒区分に採用された場合は次のとおりです。

・ 博士課程修了 +5年

・ 修士課程修了 +2年

・ 専門職学位課程修了 +2年

・ 大学6卒 +2年

・ 大学専攻科卒 +1年

・ 短大3卒 -1年

・ 短大2卒 -2年

・ 短大1卒 -3年

・ 高校専攻科卒 -3年

・ 高校3卒 -4年

・ 高校2卒 -5年

・ 中学卒 -7年

初任給の決定(例)

初任給の算定に当たっては、採用された者の職種、学歴、資格、経験年数、修学年数から最も有利なものを導き出します。

例えば看護師Aさん(36歳)の場合

平成15年3月 短大2年卒業

平成15年3月 准看護師免許取得

平成15年4月 公立病院勤務(准看護師)

平成18年3月 退職

平成20年4月 看護大学4年入学

平成24年3月 看護大学4年卒業

平成24年3月 看護師免許取得

平成24年4月 民間病院勤務(看護師)

平成31年3月 退職

平成31年4月 大卒看護師として採用

※ わかりやすく1級比較で表現します。

① 短大2准看護師1級15号俸+12号俸(公立准看護師3年)+2号俸(無職期間2年)+16号俸(大学修学期間)+28号俸(民間病院7年)=1級63号俸

② 大学4看護師1級35号俸+28号俸(民間病院7年)=1級63号俸

この①と②を比較して有利な方となりますが、適当に条件を定義したら同額となってしまいました……。

これよりも准看護師免許から看護師免許までの期間が短ければ、②の方が有利になり、長ければ①の方が有利になります。

なお、初任給決定は自治体により差がありますので、参考としてください。

昇給

公務員の初任給は決して高くはありませんが、安定した昇給があります。

通常昇給

採用時に初任給が決定されたあとは、基本的に毎年昇給していきます。

昇給は、一般的に1年間で4号俸ずつしていきますが、勤務成績が優秀であれば6号俸または8号俸、不良であれば0号俸または2号俸といった形でしていきます。

1号俸の給料額の上昇は、1,000~2,000円程度ですが、号俸の数が大きくなれば数百円と小さくなりますので、若手職員や昇級間もない職員は、毎年5,000~10,000円くらい月額給料が上昇しますが、退職間際の職員等は、500円~1,000円くらいの上昇となります。

特別昇給

職員表彰を受けたりや、勤務年数が一定に達した場合に昇給することがあります。前者は滅多にあることではありませんが、後者は長年にわたって勤務した方への褒賞のような取扱いとなっています。

昇給する号俸は、2号俸または4号俸程度です。

昇格による昇給

給料表の「級」は職務(職責)によって定められており、上の級に移行することを昇格と言います。

級の標準職務(職責)は例えば次のとおりです。

1級は基本業務係員(主事)

2級は応用業務係員(主事)

3級は高度業務係員(主任)又は係長

4級は統括業務係員(主任)又は高度係長

5級は課長

6級は高度課長又は次長

7級は高度次長又は部長

8級は高度部長

係員だと、1級から4級まで用意されていますが、高卒で1級から2級までが8年、2級から3級までが5年、3級から4級までが5年とかの年数を要すように出来ています。

ここで例えば高卒12年で係員から係長に昇任したとします。

12年ではまだ2級なので、係長の最低級である3級に達していません。

この場合、係長に昇任すると同時に3級に昇格することとなります。

さらに2年度課長になったとしたら、3級から5級に昇格となります。

このように、一応公務員も出世が早ければ早いほど高収入になるよう制度設計されています。

諸手当

公務員の手当ては自治体や地域によって様々ですが、よくある手当の例を挙げたいと思います。

・ 初任給調整手当 医師の人材確保のために支給されます。初任給に月額30万円程度を超えない範囲で加算して支給されます。

・ 扶養手当 扶養している家族の人数によって支給されます。配偶者で6,500円、子で10,000円(16~22歳は5,000円加算)、父母等6,500円が毎月支給されます。

・ 地域手当 地域による物価や民間賃金の水準に併せるための調整手当で、勤務地によって一律に給料月額の0%~20%が支給されます。

・ 住居手当 賃貸物件に住む職員に対して支給されます。およそ家賃額の半分が支給されますが、上限は27,000円です。

・ 通勤手当 通勤に係る費用を実費相当額支給されます。公共交通機関の場合は、回数券相当の支給額を、車バイク自転車の場合には距離に応じて支給されます。なお、上限は55,000円です。

・ 単身赴任手当 人事異動で転居する場合に、配偶者と別居して単身赴任する場合に支給されます。月額30,000円を基本として距離に応じて加算し、最大で100,000円まで支給されます。

・ 時間外勤務手当 民間でいうところの残業代です。勤務時間を超えて勤務することによって支給されます。支給額は、平日で時給単価の1.25倍、週休日で1.35倍です。(60時間を超えると1.5倍)

・ 休日勤務手当 休日(週休日以外)に勤務すると支給されます。支給額は時給単価の1.35倍です。

・ 夜間勤務手当 22時から5時までに勤務すると支給されます。支給額は、時給単価の0.25倍で、夜間に時間外をした場合は、これを合わせて時給単価の1.5倍が支給されます。

・ 宿日直手当 当直勤務等をすると支給されます。1回当たり5,000~12,000円程度で、職種と時間によります。

・ 管理職特別勤務手当 課長職以上の職員が休日に勤務すると支給されます。支給額は、課長で8,000円、次長で10,000円、部長で12,000円程度です。

・ 管理職手当 課長職以上の職員に毎月支給されます。支給額は、課長で50,000円、次長で70,000円、部長で90,000円程度が支給されます。

・ 期末手当 民間でいうところの賞与・ボーナスです。6月と12月の2回に分けて支給されますが、2回で給料月額の2.5か月分ほど支給されます。また、扶養人数や役職により、給料月額に加算されます。

・ 勤勉手当 民間でいうところの賞与・ボーナスです。期末手当と合わせて支給されますが、勤務成績によって支給割合が変わります。6月と12月の2回に分けて支給されますが、2回で給料月額の1.2から2.4か月ほど支給されます。

・ 特殊勤務手当 勤務の特殊性に応じて手当が出ます。危険勤務や不健康勤務等によって支払われるものが多く、手当額はまちまちです。

※ このほか、教員、消防、警察、医師当に係る諸手当や寒冷地限定の手当て等があります。

※ ここでは、退職手当は割愛しました。

年収

年収は、給料や各種手当の支給状況により大きく変動しますが、ざっくりと平均年収をお伝えします。例えば30歳の場合だとこれくらいです。

行政職 年収450万円

医療職(医師・看護師系以外)500万円

教育職 年収500万円

消防職 年収500万円

警察職 年収550万円

医療職(看護師系) 550万円

医療職(医師) 1200万円

終わりに

公務員の給与は、昔ほど年功序列にのみとらわれたものではなくなってきており、早期の出世や勤務成績優秀による昇給等があれば、なかなか高額な収入を得ることができます。

公務員は出身大学等で色分けされづらいと思いますので、最速出世を目指して頑張っていただきたいと思います。

 

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