解説

【豊かな未来へ】レジ袋有料化義務化を通してSDGsに関心を持とう

地方公務員の皆さんは、レジ袋有料化義務化に対してどのような意見をお持ちですか?

『不便になった』『法令で決まったから仕方ない』『お金払えばいいんでしょ?』など色々な意見があると思いますが、歓迎している方は多くないと思います。

このように、国民にとって『メリット』は感じられず、嫌悪感すら抱く人が多い政策は、政治家にとってはあまり進めたくないものですよね。

しかし、それでもこの政策を採用したのには、もちろん意味があります。この意味を一言で説明するなら『SDGs実現のため』と言って良いでしょう。

SDGsは2030年を年限とする目標設定をしていますが、日本の達成度は2020年現在で世界17位です。

2020東京オリンピックや2025大阪万博を開催する世界の中心国の1つである日本が、この順位に満足していて良いわけがありません。

私は、少しでも多くの人にSDGsを知ってほしいため、この記事ではレジ袋有料化義務化を取り上げたいと思います。

地方公務員1人の力が組織を変える
組織の力が地域を変える
地域が変われば国も変わる
地方公務員1人の力で国も変わる

レジ袋有料化義務化の目的と効果

まずは、レジ袋有料化義務化の目的と効果から取り上げていきます。前提知識として知っていてほしいのはSDGsですが、それは別の記事で解説していますので省きます。(【17の目標】地方公務員のためにSDGsをわかりやすく詳しく解説

2019年5月31日に『プラスチック資源循環戦略』が決定され、2019年9月26日に『第1回 産業構造審議会 産業技術環境分科会 廃棄物・リサイクル小委員会 レジ袋有料化検討ワーキンググループ 中央環境審議会循環型社会部会 レジ袋有料化検討小委員会合同会議(以下「合同会議」という。)』が開催されましたが、この合同会議の中でプラスチック製買物袋の有料化義務化に向けた制度見直しが具体的に行われました。

この合同会議の説明資料である骨子の中では、見直しの目的は次のように掲げられています。

プラスチック製買物袋の有料化義務化に向けた制度見直しの骨子

・「プラスチック資源循環戦略」(令和元年5月31日決定)では、資源・廃棄物制約、海洋ごみ対策、地球温暖化対策等の幅広い課題に対応しながら、プラスチックの資源循環を総合的に推進するための重点戦略の1つとして、リデュース等の徹底を位置付けた。その取組の一環としてレジ袋有料化義務化(無料配布禁止等)を行い、消費者のライフスタイル変革を促すこととしている。
・このため、プラスチック製買物袋を含む容器包装の使用合理化に係る取組を定める容器包装リサイクル法(以下「法」という。)の枠組みを基本としつつ、省令の見直し等を通じて、公平かつ実効的な有料化義務化を迅速に実施し、プラスチック製買物袋の使用合理化に向けて国民的理解を醸成していくこととする。

皆さんどうですか?今までのライフスタイルではレジ袋が無料なのは当たり前のことであり、たった数円であってもレジ袋にお金を払うことに対して、抵抗を感じていますよね。

その結果、エコバックやマイバスケットを持参することが当たり前のライフスタイルになっていると思います。

有料化義務化が開始してまだ半年に満たないわけですが、地球へのエコと家計へのエコを結びつけることで、とてつもない効果を発揮しているわけです。

(参考)レジ袋が有料化義務化される条件

皆さんは、街で無料でレジ袋をもらうことがありませんか?『これ法律違反では!?』そんな風に言いたくなることもありますよね。

少し横道に逸れますが、これについて疑問に思っている方も多いと思いますので、ざっくり解説を入れたいと思います。

結論から申し上げますが、有料化義務化は全てのレジ袋が対象となるわけではありません。一部の事業者の一部のレジ袋のみが対象となります。

有料化義務化対象事業者

有料化義務化の対象となる事業者は、小売業(個人又は課程消費目的販売)に限定されています。

このため、例えば飲食店、病院、調剤薬局、卸売店、代理店などは含まれません。

調剤薬局で薬を受け取る際に、レジ袋を無料でもらうことができるのはこのためです。

しかし例えば、小売業に属さない宿泊事業者が、お土産を販売する場合等は実質小売業に属するため、該当する場合があります。

有料化義務化対象レジ袋

有料化義務化の対象となるレジ袋は、商品を持ち運ぶために用いる持ち手のついたプラスチック製買い物袋に限定されています。

ただし、上記に該当する場合であっても、次のいずれかに該当する場合は、規定された表記を行うことで無償提供することができます。

・プラスチックのフィルムの厚さが 50 マイクロメートル以上のもの
・海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの
・バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

このため、スーパーの鮮魚等を入れるためのナイロン袋や、パン屋などの紙袋は該当しないほか、プラスチック製であっても再使用に耐えるだけの厚さがあったり環境に優しい製品の場合は無償提供できます。

地方公共団体の独自制度

話を本題に戻します。国におけるレジ袋有料化義務化の目的と効果について解説しましたが、地方公共団体によってはレジ袋に関して独自制度で環境問題と向き合っているところがありますので、紹介します。

次の市では、国がレジ袋を有料化義務化する前に、条例で有料化義務化をしていました。

  • 東京都杉並区
  • 新潟県佐渡市
  • 島根県出雲市
  • 埼玉県川口市
  • 島根県浜田市
  • 京都府京都市
  • 山梨県富士川町

また、京都府亀岡市では、亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例を施行し、プラスチック製レジ袋の提供を禁止しています。

この条例では、『かめおかプラスチックごみゼロ宣言』として、2030年までに使い捨てプラスチックごみゼロ化を目標に掲げ、市全体の責務として取り組んでいるのです。

最高にクールですよね。生活の利便性なんて後からいくらでも追求できるのだから、これくらい踏み込んだ政策を実行し、SDGsの達成へ貢献しないといけないのだと改めて考えさせられました。

地方公共団体の規範としてこの条例の施行に踏み切った亀岡市を心から尊敬いたします。

レジ袋有料化義務化から意識改革

この記事では、SDGsという世界が一丸となって取り組む目標のうち、日本が取り組んだ1事例である『レジ袋有料化義務化』について触れてきました。

私達が生活する中では、レジ袋に数円支払うことは大きなことではありません。しかし、大きな話題となりました。

こういった身近なレジ袋問題から環境問題、環境問題からSDGs、SDGsから未来へと考えていくことで、地球全体が豊かになっていくのだと思います。

私たち地方公務員は、地域を変え、国を変える力となり得ると思いますので、共に努力していきましょう!