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コラム

会計年度任用職員の待遇は厳しいものになるかもしれない

会計年度任用職員の待遇は厳しいものになるかもしれない

地方公務員法や地方自治法の改正に伴い、会計年度任用職員制度が平成32年(2020年)4月1日から施行となりますが、この会計年度任用職員の待遇は想像していたよりも厳しいものになるかもしれない。

はじめに

各地方公共団体においては、行政の担い手として多くの臨時的任用職員(臨時職員)や非常勤特別職(嘱託員又は嘱託職員)を任用しており、総数は全国で64万人を超え、この人数は、各地方公共団体で働く人の約5人に1人に当たります。

この臨時職員や嘱託員のうち、特別な技能や資格を有する人以外については、残念ながらワーキングプアに該当します。

行政で働いていながらワーキングプアであるというのは、社会的な矛盾を感じてしまいますよね。

 

そんな行政で増え続けているワーキングプアが、社会問題として取り上げられはじめた今般、非常勤職員に関する整備が行われることとなりました。

それが会計年度任用職員制度の導入です。

 

会計年度任用職員は、新地方公務員法において一般職として位置づけられました。

これにより、職務給の原則や均衡の原則が該当し、服務に関する規定が適用されることとなります。

ワーキングプアを脱する代わりに、義務を課されるということです。

 

しかし、ここにきて本当にワーキングプアを脱することができるのか?という大きな疑問が浮かんでいます。

地方公務員の給与決定基準について

なぜ疑問が浮かんだのか?ということについて話したいと思います。

地方公務員の給料額は、国家公務員の給料に準拠する形で設定されており、国家公務員の給料は、民間企業従業員の給料水準と均衡させることを基本として(民間準拠)、同じ条件(役職段階、勤務地域、学歴、年齢階層)にある者同士の官民の給与を比較した上民間企業の一般的な収入を元に算出されています。これを上回る給料を支給することは、なかなか難しいものです。

では会計年度任用職員はどうなのか?ということですが、国には同様の身分の制度の下に任用されている一般職はおらず、準拠できるものがありません。

しかし、それではめちゃくちゃになってしまうので、基準を協議する団体があります。

それが、いわゆる地方六団体です。

地方六団体とは、①全国知事会②全国市長会③全国町村会④全国都道府県議会議長会⑤全国市議会議長会⑥全国町村議会議長会の6つのことを指し、地方自治法263条の3の規定に基づき総務大臣に届出した団体です。

地方六団体は、こういった共通の問題を解決するために協議を行います。

今回、この地方六団体の一つである全国町村会から、会計年度任用職員の給与に関して「町(村)会計年度任用職員の給与及び費用弁償に関する条例のイメージ」が通知されました。

これにより、全国の会計年度任用職員の給与に関して、一つの基準ができたこととなります。

全国町村会通知からみる会計年度任用職員の待遇予想

全国で一番多い臨時職員・嘱託員はおそらく事務職員(事務補助・事務助手)だと思います。

公務員の給料については、地方公務員の給与・年収について(解説)で詳細を記載しましたが、事務職員の給料は行政職給料表に定められているとおりとなります。

行政職給料表の1級1号俸14万円程であり、各種手当が豊富でない分、厳しいものとなります。

また、会計年度任用職員は基本的に昇給していくことを想定していますが、全国町村会はその昇給の上限を1級25号俸と定義しました。

1級25号俸は約18万円です。

18万円となるとそれなりかなと思うかもしれませんが、もちろん18万円はフルタイムで勤務した場合です。

例えば勤務時間が30時間であれば、18万×30÷38.75で14万円を下回ります。

20時間であれば9万円程にしかなりませんね。

なお、期末手当についても正規職員が4.5月分程度支給されるのに対して、1.6月と定義されていますし、住居に関する手当なども支給されません。

自動更新制限と服務規定

会計年度任用職員は、その名のとおり、1会計年度内に限って任用される職員です。

もちろん、翌年度に更新ができないわけではありませんが、何の手続きもなく自動的に更新することはできず、客観的な能力の実証を求められることとなり、いつ不採用となるかが判らない状態となり不安定な身分となります。

また、会計年度任用職員は一般職として定義されたため、各種服務規定が適用されることになります。

服務規定は言い換えれば「義務」なので責任が重くなります。

公務員の禁止事項として有名なのが兼業の禁止ですが、フルタイムの会計年度任用職員については、この兼業禁止規定も適用となり、任命権者の許可なくして兼業をすることができません。

また、短時間の会計年度任用職員についても、信用失墜行為の禁止や職務専念義務規定を遵守するために、兼業に関する届け出が必要になると思われます。

まとめ

地方公務員法と地方自治法の整備により、期末手当を支給することができることとなった新たな任用形態である会計年度任用職員は、自治体ワーキングプア対策の一環のように思えるが、給与水準はまだまだ低いものとなりそうです。

給与↑ 責任↑↑ 安定感↓↓ という変化を考えたときに、ゆくゆくは非常勤職員を無くす方向だと捉えたほうが良いのかもしれませんね。

おすすめ記事:【解説】会計年度任用職員は任期更新されないと思って行動するべきである

おすすめ記事:【まとめ】地方公務員の転職をサポート!4月も間に合う!(経験・資格・採用)

【参考】

全国町村会HP https://www.zck.or.jp/site/proposal/16692.html (外部リンク)


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