市町村立学校には、校長・教頭・教諭・養護教諭・事務職員などが配属されていますが、これらの教育職員は身分が少し複雑です。
教育委員会事務局で勤務経験のある方でも、よくわかっていない場合があります。
地域の教育力の充実を考えると、教育職員が重要なカギを握っているのは言うまでもありません。
それにも関わらず、教育職員についての知識がないのは残念なことです。
このため、少しでも教育職員について知ってもらいたいと思い、この記事を書くことにしました。
短めに書いていきますので、ぜひご覧ください。
市町村立学校の教育職員は市町村職員
市町村立学校に勤めている教育職員は全て市町村職員です。
『え?そうなの?』
そう思った方も多いと思います。
『でも教育職員の給料は都道府県から出てるって聞いてるけど?』
そうなんです。給料や手当は市町村ではなく都道府県が負担する旨が、法律で定められています。
市町村と都道府県は、どちらも教育職員に関連する事務を行っています。
両者は、役割分担の関係性なのです。
市町村と都道府県で役割分担
市町村立学校は、学校教育法第5条の規定に基づき、設置者である市町村長が経費を原則負担します。
しかし、教育職員の給与費は、義務的経費であり且つ高額なため、市町村立学校職員給与負担法の制定により、都道府県に負担を義務付けているのです。(給与費の3分の1は国が補助)
このように、教育行政に関する事務等は、市町村と都道府県で役割分担をしています。
市町村と都道府県は、おおよそこのような役割分担です。
教育職員は、他市町村との人事異動(交流)が頻繁に行われますが、市町村同士で人材のやり取りをするわけではなく、都道府県が一括して事務を行います。
このため、市町村が内申・要望した人物と異動してきた人物とのギャップが大きいことがあり、しばしばトラブルになります。
特に教員は、担任を担えるかどうかが重要であり、担任経験の少ない教員ばかりが集まると、学校運営に支障を来たすため、重要な問題です。
このような問題が発生しないためには、市町村と都道府県の緊密な連携が必要となります。
市町村が手当を支払うことは許される?
ここでクイズです。
都道府県が教育職員の給与費負担を行いますが、予算が無限にあるわけではなく、とりわけ時間外勤務手当の予算枠は、事前に各市町村教育委員会を通じて各校へ通知されています。この予算を超えて、校長が職員に時間外勤務命令をしたいと考えたとき、市町村から手当を支払うことはできるでしょうか?
参考法令:市町村立学校職員給与負担法第1条、学校教育法第5条、労働基準法第37条、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第33条、地方公務員法第25条、地方財政法第28条
正解は・・・・・・
市町村は・・・・・・
手当を・・・・・・
支給・・・・・・
でき・・・・・・
ません。
全て都道府県が負担するべきとして判例が残っています。
理由は、市町村立学校職員給与負担法第1条のほか、地方公務員法第25条に規定する給与条例主義や、地方財政法第28条に規定する都道府県の財源措置義務に違反すると考えられるからです。
市町村としては、費用を負担しなくて良い反面、学校に対して独自政策を掲げにくいという問題点もあります。
教育職員は重要な職務を担っている
教育職員の身分についてざっくりと説明してきましたが、ご理解いただけたでしょうか。
教育職員は、学校教育の大部分を担ってくれています。
地域社会において、学校教育は非常に重要なものです。
私は、今後の地域・地方の活性化を語る上では、今以上に教育が中心的な存在になると考えています。
だからこそ、地方公務員の皆さんには、教育に興味を持っていただきたく、教育職員の身分について説明させていただきました。
教育については、これからも情報発信したいと考えていますので、ぜひ御覧ください。