こんにちは、地方公務員.comのリムクロです。
この記事では、職員団体(労働組合)をテーマに解説していきます。
先日Twitterで、『組合』を取り上げて欲しいとのリクエストをいただき、組合をテーマにした執筆に至ったものです。
このように、誰かが求める記事を書いていきたいという思いがありますので、何かリクエストがありましたら、問合せフォーム又はTwitterにご連絡をいただければと存じます。
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では、以下、職員団体(労働組合)について解説していきます。
地方公務員の職員団体(労働組合)について、動画解説も行っていますので、併せてご覧ください!
職員団体(労働組合)とは?
『よく分からずに組合に加入したけど、組合費は高いし、意味なさそうだから辞めたいな』このような方はたくさんいると思います。
恐らく地方公務員の皆さんは、入庁してすぐに、『組合に入りませんかー?』と詳しい内容を知らされることなく、勧誘されたのではないでしょうか。
分からずに組織に属しているのは、少し気持ち悪いですよね。なので、初めに職員団体の基本情報からお伝えしていきます。
職員団体とは、地方公務員法で保証された組織であり、民間企業でいうところの労働組合に近い組織で、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体を言います。
職員の待遇が不当に悪くならないように維持し、良くなるよう改善を図る組織というわけです。
職員団体は任意で結成し、任意で加入する組織であり、強制することは許されません。また、人事委員会又は公平委員会の登録を受けることで、地方公務員法の適用を受けることができます。
また、管理職員等と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することはできず、混合の場合は、地方公務員法にいう職員団体ではありません。
なお、職員団体の構成員であること、結成しようとしたこと、加入しようとしたこと、職員団体のために正当な行為をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けることはありません。これも、地方公務員法で保証されています。
こういった職員団体を結成する権利を『団結権』と言い、『団体交渉権』『団体行動権(争議権)』とともに、『労働基本権(労働三権)』として日本国憲法第28条において保証されています。
地方公務員の労働基本権
労働基本権は、民間企業においては全ての権利を保証されていますが、地方公務員はその一部又は全部を制限されています。具体的には次のとおりです。
区分 | 団結権 | 団体交渉権 | 団体行動権 | (協約締結権) |
---|
一般(非現業) | ◯ | ◯ | ✕ | ✕ |
消防・警察 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
企業職員等 | ◯ | ◯ | ✕ | ◯ |
民間企業 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
一般の地方公務員(非現業職)は、職員団体を結成することは認められており、団体交渉を行うことができますが、労働協約を締結することはできません。ただし、法的拘束力を持たない協定を結ぶことは可能です。
警察職員及び消防職員は、次の3つの理由により団結権が認められていません。
- ①国民の生命、財産を守るため、一身の危険を顧みず職務を遂行する義務を負うこと
- ②厳正な規律と統制のとれた迅速果敢な部隊活動が常に求められていること
- ③団結権を認めることにより上司と部下の対抗関係をもたらし、上命下服の服務規律を維持することが困難になることが予想されること
公営企業職員(単純労務職員含む)は、団体交渉し、地方公営企業等の労働関係に関する法律に基づき、労働協約を締結することができるなど、団体交渉権が完全な形で認められています。
このように、地方公務員は職種や主体によって、労働基本権が保証される範囲が異なるため、団体の区分を理解しておいた方が良いでしょう。
職員団体の登録(要件・効果)
ここからは、職員団体の登録要件と効果について解説していきます。
前述のとおり、職員団体は、人事委員会又は公平委員会の登録を受けることで、地方公務員法の適用を受けることができます。登録するための要件は次のとおりです。
- ①職員団体の規約に必須事項が定められていること
- ②職員団体の重要事項が民主的な手続きで決定されていること
- ③職員団体の構成員が同一の地方公共団体の職員のみで組織されていること
この要件を具備し、登録申請することで、次のような効果があります。
- ①適法な交渉の申入れをすることにより、地方公共団体の当局はこれに応ずべき地位に立つ
- ②在籍専従職員を置くことができる
- ③法人格を取得することができる
職員団体に加入していると、部局長との交渉議事録などを目にする機会があると思いますが、勤務条件等について交渉を行えているのは、職員団体として登録されている効果です。勤務時間中であっても、交渉を行うことができます。
また、『組合専従って何?アリなの?』と疑問に思うかもしれませんが、職員団体として登録を受けることで可能になるというわけです。
なお、登録申請した人事委員会又は公平委員会に対して法人化を申し出でることで、法人格を取得可能です。
職員団体と当局の交渉
職員団体は、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織するものであり、実現に向けた行動をする必要がありますが、それが当局との交渉です。
なお、当局とは、交渉事項について適法に管理し、又は決定することの出来る者のことを言い、基本的には、交渉事項を所掌する管理職員のことを指します。(給与なら総務部長など)
交渉は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項について行うことができます。ただし、地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項について交渉することできません。
どのような内容が、勤務条件に該当し、又は管理及び運営に関する事項に該当するかについては、『給与』と『勤務時間』は明記されているものの、その他は特段定められたものはないため、個別具体的に判断されることとなります。
交渉に当たっては、職員団体と当局との間において『予備交渉』を必ず行います。予備交渉では、交渉に当たる人数・議題・時間・場所・その他必要事項を取り決めなければなりません。
予備交渉を行った上で本交渉が行われるため、台本を読み上げるような形になりますが、この方法は法定されています。
地方公務員は職員団体に加入するべき?
『職員団体に加入するべきか?』これを1番知りたい方も多いと思います。結論としては、加入するのも加入しないのも自由にして良いのですが、私個人としては、条件付きですが、加入するべきという考えです。
まず、職員団体がどれほど勤務条件の維持改善に役立っているのかというところですが、正直、かなり微妙だと思います。
なぜなら、勤務条件は、条例で定めることとされており、条例を定めるに当たっては、各地方公共団体において1から組み立てるのではなく、『情勢適応の原則・職務給の原則・均衡の原則』などに則り、国家公務員に準拠した条例となることがほとんどだからです。
仮に職員団体が無くなったからと言って、給与が著しく下がったり、休暇の種類や日数が減ることはないでしょう。
また、職員団体に加入している職員と加入していない職員に対して、取扱いを変えることは許されませんので、『加入していなかったから懲戒処分になった』なんてこともありません。
では、なぜ職員団体に加入することをおすすめするのかと言えば、理由は2つあります。
- ①フリーライダーは嫌われる
- ②コミュニティとして優秀
1つ目の理由は、フリーライダーは嫌われるというものです。職員団体に加入すれば、費用負担がありますが、加入しなければ費用負担はありません。
しかし、職員団体と当局との交渉によって、職員にとって有利な勤務条件を勝ち取ったとしても、その効果は団体に加入していない職員にも及びます。
また、職員団体の加入者が減れば、専従職員や事務費などを補うための人数が減りますので、一人当たりの負担額が大きくなります。
このため、職員団体加入者は、非加入者のことを良く思わず、嫌われてしまうことがあります。
『嫌ならあなたも団体を辞めれば?』と言いたくなると思いますが、加入者が多数派の場合はそうもいきませんので、加入しておく方が無難です。
2つ目の理由は、コミュニティとして優秀であるというものです。職員団体は、非管理職員の集まる最大コミュニティとして、情報交換や交友関係を作るのに適した組織です。
イベントや勉強会等を主催していたり、運動部等においては、全国大会を開催しているなど、幅広い運営がなされています。
また、若年層においては、民間企業の自動車保険よりも安価な保険に加入できるなど、直接的なサービスを受けることもできます。
このように、情報交換による知識量の蓄積や、人脈の獲得は、将来的に大きな財産になるため、『どっちでもいいかな』と思わっている方には、職員団体の加入をおすすめします。
なお、この記事で取り上げた情報について、関係法令を以下のとおり掲載しておきますので、必要な部分についてご確認ください。
関係法令
日本国憲法
第二十八条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
地方公務員法
第三章 第九節 職員団体
(職員団体)
第五十二条 この法律において「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。
2 前項の「職員」とは、第五項に規定する職員以外の職員をいう。
3 職員は、職員団体を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。ただし、重要な行政上の決定を行う職員、重要な行政上の決定に参画する管理的地位にある職員、職員の任免に関して直接の権限を持つ監督的地位にある職員、職員の任免、分限、懲戒若しくは服務、職員の給与その他の勤務条件又は職員団体との関係についての当局の計画及び方針に関する機密の事項に接し、そのためにその職務上の義務と責任とが職員団体の構成員としての誠意と責任とに直接に抵触すると認められる監督的地位にある職員その他職員団体との関係において当局の立場に立つて遂行すべき職務を担当する職員(以下「管理職員等」という。)と管理職員等以外の職員とは、同一の職員団体を組織することができず、管理職員等と管理職員等以外の職員とが組織する団体は、この法律にいう「職員団体」ではない。
4 前項ただし書に規定する管理職員等の範囲は、人事委員会規則又は公平委員会規則で定める。
5 警察職員及び消防職員は、職員の勤務条件の維持改善を図ることを目的とし、かつ、地方公共団体の当局と交渉する団体を結成し、又はこれに加入してはならない。
(職員団体の登録)
第五十三条 職員団体は、条例で定めるところにより、理事その他の役員の氏名及び条例で定める事項を記載した申請書に規約を添えて人事委員会又は公平委員会に登録を申請することができる。
2 前項に規定する職員団体の規約には、少くとも左に掲げる事項を記載するものとする。
一 名称
二 目的及び業務
三 主たる事務所の所在地
四 構成員の範囲及びその資格の得喪に関する規定
五 理事その他の役員に関する規定
六 第三項に規定する事項を含む業務執行、会議及び投票に関する規定
七 経費及び会計に関する規定
八 他の職員団体との連合に関する規定
九 規約の変更に関する規定
十 解散に関する規定
3 職員団体が登録される資格を有し、及び引き続き登録されているためには、規約の作成又は変更、役員の選挙その他これらに準ずる重要な行為が、すべての構成員が平等に参加する機会を有する直接且つ秘密の投票による全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によつて決定される旨の手続を定め、且つ、現実に、その手続によりこれらの重要な行為が決定されることを必要とする。但し、連合体である職員団体にあつては、すべての構成員が平等に参加する機会を有する構成団体ごとの直接且つ秘密の投票による投票者の過半数で代議員を選挙し、すべての代議員が平等に参加する機会を有する直接且つ秘密の投票によるその全員の過半数(役員の選挙については、投票者の過半数)によつて決定される旨の手続を定め、且つ、現実に、その手続により決定されることをもつて足りるものとする。
4 前項に定めるもののほか、職員団体が登録される資格を有し、及び引き続き登録されているためには、当該職員団体が同一の地方公共団体に属する前条第五項に規定する職員以外の職員のみをもつて組織されていることを必要とする。ただし、同項に規定する職員以外の職員であつた者でその意に反して免職され、若しくは懲戒処分としての免職の処分を受け、当該処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの又はその期間内に当該処分について法律の定めるところにより審査請求をし、若しくは訴えを提起し、これに対する裁決若しくは裁判が確定するに至らないものを構成員にとどめていること、及び当該職員団体の役員である者を構成員としていることを妨げない。
5 人事委員会又は公平委員会は、登録を申請した職員団体が前三項の規定に適合するものであるときは、条例で定めるところにより、規約及び第一項に規定する申請書の記載事項を登録し、当該職員団体にその旨を通知しなければならない。この場合において、職員でない者の役員就任を認めている職員団体を、そのゆえをもつて登録の要件に適合しないものと解してはならない。
6 登録を受けた職員団体が職員団体でなくなつたとき、登録を受けた職員団体について第二項から第四項までの規定に適合しない事実があつたとき、又は登録を受けた職員団体が第九項の規定による届出をしなかつたときは、人事委員会又は公平委員会は、条例で定めるところにより、六十日を超えない範囲内で当該職員団体の登録の効力を停止し、又は当該職員団体の登録を取り消すことができる。
7 前項の規定による登録の取消しに係る聴聞の期日における審理は、当該職員団体から請求があつたときは、公開により行わなければならない。
8 第六項の規定による登録の取消しは、当該処分の取消しの訴えを提起することができる期間内及び当該処分の取消しの訴えの提起があつたときは当該訴訟が裁判所に係属する間は、その効力を生じない。
9 登録を受けた職員団体は、その規約又は第一項に規定する申請書の記載事項に変更があつたときは、条例で定めるところにより、人事委員会又は公平委員会にその旨を届け出なければならない。この場合においては、第五項の規定を準用する。
10 登録を受けた職員団体は、解散したときは、条例で定めるところにより、人事委員会又は公平委員会にその旨を届け出なければならない。
第五十四条 削除
(交渉)
第五十五条 地方公共団体の当局は、登録を受けた職員団体から、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、及びこれに附帯して、社交的又は厚生的活動を含む適法な活動に係る事項に関し、適法な交渉の申入れがあつた場合においては、その申入れに応ずべき地位に立つものとする。
2 職員団体と地方公共団体の当局との交渉は、団体協約を締結する権利を含まないものとする。
3 地方公共団体の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。
4 職員団体が交渉することのできる地方公共団体の当局は、交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる地方公共団体の当局とする。
5 交渉は、職員団体と地方公共団体の当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、職員団体がその役員の中から指名する者と地方公共団体の当局の指名する者との間において行なわなければならない。交渉に当たつては、職員団体と地方公共団体の当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行なうものとする。
6 前項の場合において、特別の事情があるときは、職員団体は、役員以外の者を指名することができるものとする。ただし、その指名する者は、当該交渉の対象である特定の事項について交渉する適法な委任を当該職員団体の執行機関から受けたことを文書によつて証明できる者でなければならない。
7 交渉は、前二項の規定に適合しないこととなつたとき、又は他の職員の職務の遂行を妨げ、若しくは地方公共団体の事務の正常な運営を阻害することとなつたときは、これを打ち切ることができる。
8 本条に規定する適法な交渉は、勤務時間中においても行なうことができる。
9 職員団体は、法令、条例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてヽいヽ触しない限りにおいて、当該地方公共団体の当局と書面による協定を結ぶことができる。
10 前項の協定は、当該地方公共団体の当局及び職員団体の双方において、誠意と責任をもつて履行しなければならない。
11 職員は、職員団体に属していないという理由で、第一項に規定する事項に関し、不満を表明し、又は意見を申し出る自由を否定されてはならない。
(職員団体のための職員の行為の制限)
第五十五条の二 職員は、職員団体の業務にもつぱら従事することができない。ただし、任命権者の許可を受けて、登録を受けた職員団体の役員としてもつぱら従事する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の許可は、任命権者が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、任命権者は、その許可の有効期間を定めるものとする。
3 第一項ただし書の規定により登録を受けた職員団体の役員として専ら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(地方公営企業等の労働関係に関する法律(昭和二十七年法律第二百八十九号)第六条第一項ただし書(同法附則第五項において準用する場合を含む。)の規定により労働組合の業務に専ら従事したことがある職員については、五年からその専ら従事した期間を控除した期間)を超えることができない。
4 第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が登録を受けた職員団体の役員として当該職員団体の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。
5 第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されず、また、その期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないものとする。
6 職員は、条例で定める場合を除き、給与を受けながら、職員団体のためその業務を行ない、又は活動してはならない。
(不利益取扱の禁止)
第五十六条 職員は、職員団体の構成員であること、職員団体を結成しようとしたこと、若しくはこれに加入しようとしたこと又は職員団体のために正当な行為をしたことの故をもつて不利益な取扱を受けることはない。
地方公営企業等の労働関係に関する法律
(他の法律との関係)
第四条 職員に関する労働関係については、この法律の定めるところにより、この法律に定のないものについては、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)(第五条第二項第八号、第七条第一号ただし書、第八条及び第十八条の規定を除く。)及び労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)(第九条、第十八条、第二十六条第四項、第三十条及び第三十五条の二から第四十二条までの規定を除く。)の定めるところによる。
(職員の団結権)
第五条 職員は、労働組合を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる。
2 労働委員会は、職員が結成し、又は加入する労働組合(以下「組合」という。)について、職員のうち労働組合法第二条第一号に規定する者の範囲を認定して告示するものとする。
3 地方公営企業等は、職を新設し、変更し、又は廃止したときは、速やかにその旨を労働委員会に通知しなければならない。
(組合のための職員の行為の制限)
第六条 職員は、組合の業務に専ら従事することができない。ただし、地方公営企業等の許可を受けて、組合の役員として専ら従事する場合は、この限りでない。
2 前項ただし書の許可は、地方公営企業等が相当と認める場合に与えることができるものとし、これを与える場合においては、地方公営企業等は、その許可の有効期間を定めるものとする。
3 第一項ただし書の規定により組合の役員としてもつぱら従事する期間は、職員としての在職期間を通じて五年(地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第五十五条の二第一項ただし書の規定により職員団体の業務にもつぱら従事したことがある職員については、五年からそのもつぱら従事した期間を控除した期間)をこえることができない。
4 第一項ただし書の許可は、当該許可を受けた職員が組合の役員として当該組合の業務にもつぱら従事する者でなくなつたときは、取り消されるものとする。
5 第一項ただし書の許可を受けた職員は、その許可が効力を有する間は、休職者とし、いかなる給与も支給されず、また、その期間は、退職手当の算定の基礎となる勤続期間に算入されないものとする。
(団体交渉の範囲)
第七条 第十三条第二項に規定するもののほか、職員に関する次に掲げる事項は、団体交渉の対象とし、これに関し労働協約を締結することができる。ただし、地方公営企業等の管理及び運営に関する事項は、団体交渉の対象とすることができない。
一 賃金その他の給与、労働時間、休憩、休日及び休暇に関する事項
二 昇職、降職、転職、免職、休職、先任権及び懲戒の基準に関する事項
三 労働に関する安全、衛生及び災害補償に関する事項
四 前三号に掲げるもののほか、労働条件に関する事項
(条例に抵触する協定)
第八条 地方公共団体の長は、地方公営企業において当該地方公共団体の条例に抵触する内容を有する協定が締結されたときは、その締結後十日以内に、その協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該地方公共団体の議会に付議して、その議決を求めなければならない。ただし、当該地方公共団体の議会がその締結の日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会に速やかにこれを付議しなければならない。
2 特定地方独立行政法人の理事長は、設立団体(地方独立行政法人法第六条第三項に規定する設立団体をいう。以下同じ。)の条例に抵触する内容を有する協定を締結したときは、速やかに、当該設立団体の長に対して、その協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該設立団体の議会に付議して、その議決を求めるよう要請しなければならない。
3 前項の規定による要請を受けた設立団体の長は、その要請を受けた日から十日以内に、同項の協定が条例に抵触しなくなるために必要な条例の改正又は廃止に係る議案を当該設立団体の議会に付議して、その議決を求めるものとする。ただし、当該設立団体の議会がその要請を受けた日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会に速やかにこれを付議するものとする。
4 第一項又は第二項の協定は、第一項又は第二項の条例の改正又は廃止がなければ、条例に抵触する限度において、効力を生じない。
(規則その他の規程に抵触する協定)
第九条 地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関は、地方公営企業において、当該地方公共団体の長その他の地方公共団体の機関の定める規則その他の規程に抵触する内容を有する協定が締結されたときは、速やかに、その協定が規則その他の規程に抵触しなくなるために必要な規則その他の規程の改正又は廃止のための措置をとらなければならない。
(予算上資金上不可能な支出を内容とする協定)
第十条 地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、当該地方公共団体の議会によつて所定の行為がなされるまでは、当該地方公共団体を拘束せず、且つ、いかなる資金といえども、そのような協定に基いて支出されてはならない。
2 前項の協定をしたときは、当該地方公共団体の長は、その締結後十日以内に、事由を附しこれを当該地方公共団体の議会に付議して、その承認を求めなければならない。但し、当該地方公共団体の議会がその締結の日から起算して十日を経過した日に閉会しているときは、次の議会にすみやかにこれを付議しなければならない。
3 前項の規定により当該地方公共団体の議会の承認があつたときは、第一項の協定は、それに記載された日附にさかのぼつて効力を発生するものとする。
(争議行為の禁止)
第十一条 職員及び組合は、地方公営企業等に対して同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。また、職員並びに組合の組合員及び役員は、このような禁止された行為を共謀し、唆し、又はあおつてはならない。
2 地方公営企業等は、作業所閉鎖をしてはならない。
(前条の規定に違反した職員の身分)
第十二条 地方公共団体及び特定地方独立行政法人は、前条の規定に違反する行為をした職員を解雇することができる。
(苦情処理)
第十三条 地方公営企業等及び組合は、職員の苦情を適当に解決するため、地方公営企業等を代表する者及び職員を代表する者各同数をもつて構成する苦情処理共同調整会議を設けなければならない。
2 苦情処理共同調整会議の組織その他苦情処理に関する事項は、団体交渉で定める。
(調停の開始)
第十四条 労働委員会は、次に掲げる場合に、地方公営企業等の労働関係に関して調停を行う。
一 関係当事者の双方が調停の申請をしたとき。
二 関係当事者の双方又は一方が労働協約の定めに基づいて調停の申請をしたとき。
三 関係当事者の一方が調停の申請をなし、労働委員会が調停を行う必要があると決議したとき。
四 労働委員会が職権に基づいて調停を行う必要があると決議したとき。
五 厚生労働大臣又は都道府県知事が調停の請求をしたとき。
(仲裁の開始)
第十五条 労働委員会は、次に掲げる場合に、地方公営企業等の労働関係に関して仲裁を行う。
一 関係当事者の双方が仲裁の申請をしたとき。
二 関係当事者の双方又は一方が労働協約の定めに基づいて仲裁の申請をしたとき。
三 労働委員会が、その労働委員会においてあつせん又は調停を行つている労働争議について、仲裁を行う必要があると決議したとき。
四 労働委員会があつせん又は調停を開始した後二月を経過して、なお労働争議が解決しない場合において、関係当事者の一方が仲裁の申請をしたとき。
五 厚生労働大臣又は都道府県知事が仲裁の請求をしたとき。
(仲裁裁定)
第十六条 地方公営企業等とその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定に対しては、当事者は、双方とも最終的決定としてこれに服従しなければならない。
2 地方公共団体の長は、地方公営企業とその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定が実施されるように、できる限り努力しなければならない。ただし、当該地方公営企業の予算上又は資金上、不可能な資金の支出を内容とする仲裁裁定については、第十条の規定を準用する。
3 第八条第一項及び第四項の規定は当該地方公共団体の条例に抵触する内容を有する仲裁裁定について、第九条の規定は当該地方公共団体の規則その他の規程に抵触する内容を有する仲裁裁定について準用する。
4 設立団体は、特定地方独立行政法人がその職員との間に発生した紛争に係る仲裁裁定を実施した結果、その事務及び事業の実施に著しい支障が生ずることのないように、できる限り努力しなければならない。
5 第八条第二項から第四項までの規定は、当該設立団体の条例に抵触する内容を有する仲裁裁定について準用する。
(第五条第二項の事務の処理)
第十六条の二 第五条第二項の規定による労働委員会の事務の処理には、公益を代表する委員のみが参与する。
(不当労働行為の申立て等)
第十六条の三 第十二条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立てがあつた場合において、その申立てが当該解雇がなされた日から二月を経過した後になされたものであるときは、労働委員会は、同条第二項の規定にかかわらず、これを受けることができない。
2 第十二条の規定による解雇に係る労働組合法第二十七条第一項の申立て又は同法第二十七条の十五第一項若しくは第二項の再審査の申立てを受けたときは、労働委員会は、申立ての日から二月以内に命令を発するようにしなければならない。
(地方公営企業法の準用)
第十七条 地方公営企業法第三十八条並びに第三十九条第一項及び第三項から第六項までの規定は、地方公営企業(同法第四章の規定が適用されるものを除く。)に勤務する職員について準用する。
2 地方公営企業法第三十九条第二項の規定は、前項に規定する職員(同法第三十九条第二項の政令で定める基準に従い地方公共団体の長が定める職にある者を除く。)について準用する。