地方公務員法解説は、次のページでさらにわかりやすく再作成しました。
〇 第三章 職員に適用される基準 第八節 福祉及び利益の保護 第四款 不利益処分に関する審査請求
第四十九条(不利益処分に関する説明書の交付)
【条文】
第四十九条 任命権者は、職員に対し、懲戒その他その意に反すると認める不利益な処分を行う場合においては、その際、その職員に対し処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。
2 職員は、その意に反して不利益な処分を受けたと思うときは、任命権者に対し処分の事由を記載した説明書の交付を請求することができる。
3 前項の規定による請求を受けた任命権者は、その日から十五日以内に、同項の説明書を交付しなければならない。
4 第一項又は第二項の説明書には、当該処分につき、人事委員会又は公平委員会に対して審査請求をすることができる旨及び審査請求をすることができる期間を記載しなければならない。
【解説】
第四十九条は不利益処分に関する説明書の交付について定められています。
不利益処分をする場合は、説明書の交付義務がありますし、不利益処分を受けたと思うときは、任命権に対して説明書の交付を求めることができます。
任命権者に不利益処分に係る説明義務を課すことで、権力濫用を防ぐこととなります。
※ 昇給の上り幅が想定より小さい若しくは全く上がらなかったとしても、基本的には不利益処分には該当しません。
※ 処分説明書の不備があったとしても、処分の効力に影響はありません。
※ 転任(異動)に関しては、任命権者からの一方的な命令行為(処分)ですが、不利益処分と認められる可能性は低いです。しかし、全く認められないものではありません。
第四十九条の二(審査請求)
【条文】
第四十九条の二 前条第一項に規定する処分を受けた職員は、人事委員会又は公平委員会に対してのみ審査請求をすることができる。
2 前条第一項に規定する処分を除くほか、職員に対する処分については、審査請求をすることができない。職員がした申請に対する不作為についても、同様とする。
3 第一項に規定する審査請求については、行政不服審査法第二章の規定を適用しない。
【解説】
第四十九条の二は審査請求について定められています。
国民は、行政に対する不服申し立ての一般法である行政不服審査法に則り審査請求をすることとなりますが、地方公務員が不利益処分を受けた場合に行う審査請求は、前条によることとなります。
第四十九条の三(審査請求期間)
【条文】
第四十九条の三 前条第一項に規定する審査請求は、処分があつたことを知つた日の翌日から起算して三月以内にしなければならず、処分があつた日の翌日から起算して一年を経過したときは、することができない。
【解説】
第四十九条の三は審査請求期間について定められています。
行政不服審査法同様、処分があったことを知った日の翌日から3月以内、処分のあった日の翌日から1年以内が審査請求を行うことができる期間です。
第五十条(審査及び審査の結果執るべき措置)
【条文】
第五十条 第四十九条の二第一項に規定する審査請求を受理したときは、人事委員会又は公平委員会は、直ちにその事案を審査しなければならない。この場合において、処分を受けた職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。口頭審理は、その職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。
2 人事委員会又は公平委員会は、必要があると認めるときは、当該審査請求に対する裁決を除き、審査に関する事務の一部を委員又は事務局長に委任することができる。
3 人事委員会又は公平委員会は、第一項に規定する審査の結果に基いて、その処分を承認し、修正し、又は取り消し、及び必要がある場合においては、任命権者にその職員の受けるべきであつた給与その他の給付を回復するため必要で且つ適切な措置をさせる等その職員がその処分によつて受けた不当な取扱を是正するための指示をしなければならない。
【解説】
第五十条は審査及び審査の結果執るべき措置について定められています。
人事委員会又は公平委員会の裁決の結果には形成力(審査請求の対象となった処分の効力を変動させる効力)があります。
第五十一条(審査請求の手続等)
【条文】
第五十一条 審査請求の手続及び審査の結果執るべき措置に関し必要な事項は、人事委員会規則又は公平委員会規則で定めなければならない。
【解説】
第五十一条は審査請求の手続等について定められています。
手続きや措置に関する必要事項は、各自治体における人事委員会規則又は公平委員会規則に委任されています。
第五十一条の二(審査請求と訴訟との関係)
【条文】
第五十一条の二 第四十九条第一項に規定する処分であつて人事委員会又は公平委員会に対して審査請求をすることができるものの取消しの訴えは、審査請求に対する人事委員会又は公平委員会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。
【解説】
第五十一条の二は審査請求と訴訟との関係について定められています。
訴訟をする場合は、先に人事委員会又は公平委員会の裁決を経る必要があります。(審査請求前置主義)
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