『いいなぁお前たちは残業代が貰えて……』こんなパワハラ発言をする管理職が、身の回りに居ませんか?
『お前だって管理職手当貰ってるだろ……』心で思いつつも、なかなか直接言い返すことができず、ストレスが溜まる発言ですよね。
確かに地方公務員は、管理職になると管理職手当が支給される代わりに時間外勤務手当(残業代・休日手当)が支給されなります。給料の増加も少なく、最高位である部長まで登りつめたとしても、年収は800〜1000万円程度です。
責任の大きさに比例して給与が同じだけ増えているかと言えば、物足りないかもしれません。
しかしそれは、部下に対してパワハラをする理由には当然なりませんし、そもそも公務員が責任を嫌っているのでは、職務を果たすことはできないため、公務員としての資質を疑ってしまうところです。
そもそもこういった管理職員は『責任に見合った手当が貰えない』ではなく『時間外勤務手当が羨ましい』という『金の話』をしてきますが、本当に時間外勤務手当の方が多くもらっているのでしょうか?
試しに3つのケースで検証をしてみたいと思います!
管理職手当と時間外勤務手当
地方公務員の階級は、『係員→係長→課長→次長→部長』を基本として、規模の小さな地方公共団体では係長や次長が存在せず、規模の大きな地方公共団体では課長補佐や主幹、参事、室長などが加わります。
課長職以上を管理職としているところが多く、管理職手当が支給される代わりに、時間外勤務手当が支給されなくなります。
時間外勤務手当を支給しなくて良い根拠は、労働基準法第41条にあって、『監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者』には労働時間等に関する規定は適用されないというものです。
しかし、この規定における『管理・監督者=管理職』ではなく、人事や経営権が与えられていない管理職も多いため、グレーな法解釈と言わざるを得ません。
現に、管理職の医師における時間外勤務手当の未払に対して、是正勧告を受けた例もいくつかあり、医師に限定して管理職手当と時間外勤務手当を併給している実績もわずかながらあります。
しかし、現在において主流となっているのは、管理職手当と時間外勤務手当のいずれか一方のみを支給するスタイルのため、この記事ではそれを前提として検証していきます。
管理職手当は年間○○円
管理職手当は、毎月定額が支給されるほか、期末・勤勉手当にも役職に応じた加算が設けられているため、合算して考えることとします。
管理職手当の金額や期末・勤勉手当の役職加算は、各地方公共団体によって様々ですが、だいたい平均となりそうな次の値を使って計算してみます。
※ 地域手当や扶養手当が支給される場合は、さらに年間支給額が大きくなります。
時間外勤務手当の単価は○○円
次に、①〜③の管理職員に対して、時間外勤務手当が支給される場合の時間単価を計算してみます。
計算式:給料月額÷1月当たりの時間数(年間勤務日数244日÷12月×勤務時間7.75)×割増賃金1.25倍
残業年間○○時間以下なら管理職手当がお得
最後に、管理職手当の年間影響額を、時間外勤務手当の時間単価で割返してみましょう。
このことから、課長職なら毎月23時間、次長職なら毎月27時間、部長職なら毎月32時間分の時間外手当に相当する管理職手当が支給されていることがわかりました。
毎月23時間は、それなりに忙しい部署であれば超えてしまう時間数ですが、毎日定時に帰れるような部署であれば、多少の旨味はあります。
もし、毎日早く帰っている管理職が、『いいなぁお前たちは残業代が貰えて……』などと発言した場合には、『23時間残業してから言ってください』と言い返してあげましょう!
以上、管理職手当VS時間外勤務手当でした!
※各地方公共団体によって数字は異なります。あくまでサンプルと捉えてください。