こんにちは、地方公務員.comのリムクロです。
この記事では、iDeCo(イデコ)について初心者向けにわかりやすく解説を行いたいと思います。
2年ほど前に『老後2000万円問題』がバズワードとなったように、地方公務員として定年まで勤め上げたとしても、安心して老後を過ごせるとは限りません。
このため、老後に向けた資金・資産形成を各々で考える必要がありますが、皆さんはどのように準備されていますか?
恐らく、貯金をしている方が最も多いと思います。
30歳から貯金を始めれば月56,000円、40歳からなら8万4千円貯金をすれば定年退職までに2000万円貯まりますよね。
この貯金は、万が一のことがあれば、切り崩す可能性のある資産ですが、ほとんどの方は数十年間預けっぱなしの資産になると思います。
ここで本題です。どうせ定年退職するまで使う予定のない資産なら、iDeCoで有効活用しませんか?たくさんのメリットがありますよ。
以下、iDeCoに対する知識をお持ちではない方に向けて、わかりやすく解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
iDeCoとは?
iDeCoは、個人型確定拠出年金を指す言葉で、簡単に言うと『老後に備える超優遇された投資』のことです。
20歳から60歳までの人が加入することができ、地方公務員であれば、月5,000〜12,000円の範囲で資産運用することができます。
資産運用は、運営管理機関として登録されている銀行・信用金庫・労働金庫・証券会社・生命保険会社などを通じて行いますが、債権や株式での投資信託のようなリスクを伴うもののほか、定期預金や生命保険のような元本保証されたものもあります。
資産運用に関しては様々な税制優遇が受けられ、単に定期預金のみを行った場合でも、iDeCoを利用することによって所得税や住民税が軽減されます。また、投資信託などを行った場合には、さらなる優遇措置も設けられており非常にお得な制度です。
ただし、iDeCoは老後に備えるのが目的のため、原則として60歳に達するまでは引き出すことができません。このため、生活費の一部を削って運用するのではなく、あくまで老後のための備えから運用するのが望ましいと言えます。
iDeCo3つのメリット(優遇措置)
iDeCoは、①投資するとき②利益が発生したとき③受け取るときの3つのフェイズにおいて優遇措置を受けることができます。
この3つの優遇措置を知っただけでも、iDeCoを始めたくなると思いますので、ぜひ御覧ください。
(投資)掛け金が所得控除
地方公務員は、毎月の給与から所得税及び住民税が天引きされており、税率は、所得税で所得の5〜23%程度、住民税であれば10%です。
iDeCoを利用して投資すると、所得から掛け金相当分が控除されるため、所得税及び住民税が安くなります。具体的には次のとおりです。
給与所得額が3,000,000円で、iDeCoによる投資を満額(12,000円×12か月=144,000円)行っている場合
所得税:144,000×10%=14,400円
住民税:144,000×10%=14,400円
節税計:28,800円
これは、iDeCoを利用して投資信託を行った場合に限らず、定期預金を行った場合にも有効で、60歳まで引き出せない代わりに、1年間で28,800円儲かることになります。
仮に、30歳から30年間これを続けたとすれば、預けているだけで864,000円も節税できます。
なお、所得が増えると所得税率が上がりますので、実質100万円くらい節税出来ることになります。かなりお得ですよね。
60歳まで引き出せないという縛りがあるため、必要最低限の貯蓄は別に用意しつつも、ある程度の余裕が出来たら、節税目的で投資してみてはいかがでしょうか。
運用益が非課税
日頃から投資信託をしている方は、既にご存知のことと思いますが、投資信託は、運用の中で得た利益に対して、20.315%の税金が掛かります。
投資によって始めからリスクを負っているにも関わらず、利益に対して税金が掛かるため、収支の期待値が低くなってしまうのですが、iDeCoならなんと運用益が非課税扱いです。
仮に100万円の利益が出たとしても、運用益に対して一切税金が掛からないため、通常の投資信託よりも収支の期待値が高くなります。
さらに、iDeCoは複数の金融商品等にバラバラに資金配分することができるため、リスクを軽減することができます。
運用益に税金が掛かってしまうと、利益と損失の合計が多少黒字であったとしても、税控除後では赤字となってしまうケースもありますが、非課税のため、その場合は黒字となります。
地方公務員は、30代を過ぎてから家計に余裕のある方が多く、投資信託を始める方も沢山いますが、まずは、優遇措置が設けられているiDeCoから初めて見るのが理想的かもしれません。
受け取り時も大きな控除
iDeCoは、60歳を過ぎると受け取ることができますが、受け取り方法は、年金方式か一時金方式かを選択することができます。(併用可能な運営管理機関もあります。)
この受け取る際に、年金方式では『公的年金等控除』の、一時金方式では『退職所得控除』の対象となるため、iDeCo以外の方法で投資した場合と比較して、多くのお金が手元に入ることになります。
せっかく長い年月をかけて数百万円積み立てても、そこから税金を引かれるのはがっかりしてしまいますよね。iDeCoなら、その税金が無くなる又は最小限に抑えることができます。
このように、iDeCoであれば、『投資→運用益→受取』と3重の優遇措置を受けることができるため、大変お得な制度だと言えます。
iDeCoのリスク
『え?本当?そんなにお得なわけないじゃん!』と言われそうなので、リスクについても解説しておきます。ただし、特にiDeCoだからというリスクはありません。投資全般に言えるリスクです。
例えば、定期預金や生命保険であっても、物価高騰による実質的な元本割れが起こったり、経営破綻による損失(1,000万円までは保護対象)が発生する可能性があります。
また、投資信託であれば、価格変動・為替変動・金利変動・信用・カントリーなどのリスクがあり、元本割れが起こることは多々あります。
このため、iDeCoは個人の意思で投資先や投資方法を決定し、損失が発生したとしても、誰かが補填してくれるわけではありません。
優遇措置が3重に張り巡らされているため、収支の期待値が高いのは事実ですが、少なからず投資にリスクは付き物です。
それを理解した上で、少し増やせれば良いかなと考えるのであれば、ローリスクローリターンの商品を選択し、どうせ投資するんだから沢山増やしたいと考えるのであれば、ハイリスクハイリターンを選択する方法を選んだりすれば良いのかなと思います。
iDeCoを利用して老後の生活を豊かに
地方公務員は、35年間勤続していれば、退職手当が2000万円程度支給されます。このため、『老後2000万円問題』とは縁のない存在のように思えます。
関連記事:地方公務員の退職金について(解説)
しかし、現在の物価水準はこれからも続いていくでしょうか?
また、退職手当は10年後、20年後も2000万円支給されているでしょうか?
恐らく答えはNOです。
退職手当だけを頼りに、他の資金・資産を準備しなければ、老後の生活は少し貧しくなってしまうかもしれません。
iDeCoに投資する月5000〜12,000円という金額は、浪費を減らすだけで生み出すことができる金額のはずです。
皆さんもぜひiDeCoを利用し、老後の生活を豊かにしていただければと思います。
なお、私個人の意見としては、投資信託会社は投資のプロであり、潤沢な資金を持ち、最前線で情報収集をし続けている存在だと思っています。
さすがに、資金の全てを1つの商品に当てることはできませんが、5つ程度に配分すれば、十分リスクヘッジ出来るのではないかなと考えています。
以上で、iDeCoの初心者向け解説を終わります。今回は概要について解説しましたが、次回は、iDeCoの詳細について解説していきたいと思います。