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解説

【コラボ】消防士の仕事内容を詳しく解説!〜現役消防士の声/自治体の選び方〜(SU–Eさん提供)

【コラボ】消防士の仕事内容を詳しく解説!〜現役消防士の声/自治体の選び方〜(SU–Eさん提供)

こんにちは、地方公務員.comのリムクロです。

本日は、消防士&救急隊員のリアルな仕事ぶりや生活風景を発信するブログ『消防士&救急隊員の1日』を運営されている『SU-Eさん』とのコラボ企画をお届けします。

SU-Eさんは、消防士として35年以上勤務し、救急隊員として長らく活躍された元公務員で、現在はブロガーとして活躍しつつ、Twitterにおいても消防士や救急隊に関連した役立つ情報を発信されている方です。

公務員に対する情報発信を行っている者同士として、意気投合し、今回コラボ記事を作成することとなりました。このようなコラボ記事が書けることを、大変嬉しく思っております。

さて、それでは今回の企画ですが、SU-Eさんに、消防士の仕事をリアルに解説していただくことにしました。

理由としては、全国の消防士を目指す方に、消防士のリアルを知ってほしいと考えたためです。

消防士は、住民の生活や命を守る素晴らしい職業であり、なおかつ、待遇面が安定しており、大変人気のある職業です。このため、求人倍率が10倍を超える場合もあります。

しかし、せっかく狭き門をくぐり抜けて合格しても、採用からたった数年で退職してしまう人も少なくありません。その多くは、消防士の仕事のリアルを事前に知ることが出来なかったために、ギャップに苦しんだことが原因ではないでしょうか。

そういった、自治体側にも応募者側にもデメリットのあるギャップを、この記事によって埋めることが出来ればなと思っています。

それでは、SU-Eさんよろしくおねがいします。

はじめに

この記事を書いている私(SU-E)は元消防士。今でも現役消防士の息子から最新の消防情報をキャッチし、ブログで発信しています。

本記事では、消防士を目指している方に向けて、消防士の仕事内容をわかりやすく解説していきます。

本記事の内容
  • 消防士の仕事5つを紹介
  • それぞれの道を歩む現役消防士を紹介
  • 消防組織の規模に応じて業務も変わる

この記事を読めば、消防を知らない人でも、消防士の仕事内容がみえてくるようになり、「消防ってこういう仕事をする職業なのか」と納得してもらえるはずです。

また、現役消防職員の生の声を紹介しているので、よりイメージしやすく、よりリアルに感じとれるのではないかと思っています。

後半では、消防士を目指す方に向けて、『消防士の仕事を網羅して働ける消防本部の選び方』についても解説していますので、ぜひ最後まで読んでください。

それでは行きましょう!

消防士の仕事5つを紹介(消火・救急・救助・予防・その他)

消防士の仕事は、大きく分けて5つに分類することができます。

消防士の仕事(5分類)
  • 消火(警防隊)の仕事
  • 救急の仕事
  • 救助の仕事
  • 予防(防災)の仕事
  • その他の業務

上記の仕事があるのは、全て消防組織を運営していくに当たり、必要な業務だからです。

この5つの仕事について、具体的な内容を順に解説していきます。

消火(警防隊)の仕事

消火は消防士の基本業務の1つです。むしろ、『消防=火消し』が一般的なイメージであり、根幹を担っています。

実際、消防訓練に行った時などに、「消防士って何の仕事してるか分かりますか?」と小学生に聞いても、「火を消す仕事!」と返事が返ってきます。それくらい浸透している代表的な業務です。

『火を消す』と簡単にまとめていますが、そのために必要な知識・技術は多岐にわたります。

消化に必要な知識・技術
  • 出動場所を地図ですぐ確認できる地理水利把握能力
  • 適切な場所へホース延長し、延焼危険を防ぐための消防戦術の知識
  • 消火活動のため空気呼吸器(約11kg)と防火衣(約10kg)を装備しても活動できる体力
  • 暑い火災現場。熱中症にならないための体力
  • 負傷者がいないか等を把握する情報処理・管理能力
  • 活動中、怪我をしない(させない)ための危険予知能力
  • 消火栓に吸管を取り付けて、消防ポンプで放水する技術
  • 緊急走行で現場へ向かうための運転技術

これだけあります。とはいえ、ズラズラと必要な知識、技術、能力を並べましたが、全てを1人でするわけではありません。

実際、1つの火災に多数の消防車がきます。車両1台につき3〜5人乗車して火災現場に向かいます。

そうです。1人で消火活動をするわけではないので、全部できないとダメというわけではありません。

が、これだけのことを実際の火災現場では必要とされ、消防隊員が個々の仕事を行うことで、消火できていることは知っておいた方が良いです。

簡単な仕事ではないのです。繰り返しになりますが、『消火の仕事』は消防の根幹を担う業務です。

救急の仕事

救急の仕事は、119番通報を受けて救急車で傷病者の元へ向かい、適切な医療機関へ搬送する仕事です。

救急活動は、『傷病者の観察及び必要な応急処置を行った後に、傷病者の症状に適した医療機関に速やかに搬送することを原則とする』とされており、これを、消防士が担っています。

救急の仕事内容
  • 緊急走行で傷病者宅へ向かう
  • 傷病者の観察を行う
  • 傷病者の病状を悪化させないように適切な処置をする
  • 適切な医療機関へ連絡し、搬送する

救急の仕事を簡潔明瞭に話せば上記の内容だけで、シンプルです。

とはいえ、同じ救急現場は1つとしてありません。例えば『胸痛を訴えている…」との指令内容で出動しても

  • 心疾患からの胸痛(心筋梗塞など)
  • 消化器疾患からの胸痛(逆流性食道炎、胃・十二指腸潰瘍など)
  • 精神的要因からの胸痛(心臓神経痛など)

なぜ胸痛が出現しているのか、そこを見極めて判断していかなければなりません。

そして、搬送する必要が今あるのか。状況によっては不搬送にすることもあります。

ですので、救急の仕事は「ただ単に病院へ搬送するだけ」ではありません。

救助の仕事

消防の大事な仕事の1つに「救助」があります。

救助活動は、『災害により生命又は身体に危険が及んでおり、かつ、自らその危険を排除することができない者について、その危険を排除し、又は安全な状態に救出することにより人命の救助を行うこと』とされており、これを消防士が担っています。

救助の仕事内容
  • 救助資機材を活用し、車両に閉じ込められた要救助者を救出
  • 梯子車を活用して、高層階に取り残されている要救助者を救出
  • 大型河川で溺れそうになっている要救助者を救命ボートや救命浮輪を利用して救出
  • 有毒ガスの発生した現場に化学防護服を着装して、要救助者救出へ向かう(各消防本部によって特殊災害隊として運用されているケースも)

この他には、もちろん火災現場へ出動して要救助者救出活動から消火活動まで担っています。

また、広域相互応援協定に基づき、大災害が発生した時は、支援隊として派遣依頼を受け、管轄区域外に出動することもあります。

また、救助隊は、幅広い資機材を使いこなせなければいけません。そのため、

  • 訓練を日々の業務内で行う(必要があれば非番で行っていることも‥)
  • 資機材が現場でちゃんと使えるように維持管理
  • 実践で活かせる体力錬成/トレーニングを行う

こういった救助活動のために必要な事を欠かさず実行しています。

ですので、救助業務は消防の仕事であり、欠かすことのできない大事な仕事なのです。

予防(防災)の仕事

第4の消防の仕事は、「予防業務」です。予防は、火災が起こらないように未然に防ぐ仕事のことを言います。

予防の仕事がなければ、火災はこれまで以上に発生して、もっと死傷者や財産の損失を生み出すでしょう。


上記の図(引用元:総務省消防庁)を見ていただけると理解しやすいはず。

火災による死傷者数は火災件数の減少と相まって、減っているのがわかるかと思います。

適切な火災予防を実施することで、失う生命や財産が確実に減ります。だから「予防」は重要なのです。

予防に関する具体的な仕事内容は次のとおりです。

予防の仕事内容
  • スーパーや、工場、飲食店などあらゆる事業所において、消防設備が整っているのか確認
  • 工場等の事業者で取り扱っている危険物が適切な量を適切な場所で保管しているのか確認
  • 新築住宅を建築するのに対し、必要な消防設備等の問い合わせ対応

これだけではありませんが、一例として挙げました。

また管轄地域によって、

  • 工場が多い地域
  • ショッピングモールが何店舗もある
  • 高層ビルが立ち並ぶ

など、各自治体によって、特色は異なります。

ですので、学ぶことが多く、予防を網羅するには何年も勉強する必要があり、大変さがあります。

後ほど、リアルな予防担当職員の話をします。

その他の業務

「その他の業務」とまとめてしまいますが、全て超重要な仕事です。結論から言えば、「総務」の仕事が該当してきます。

これから挙げる仕事がなければ、会社として回りません。(※正確には公務員なので会社とは呼びませんが)

具体的な仕事は何かというと、

総務の仕事内容
  • 消防職員に給料を支払う
  • 職員が使用する靴などの貸与品の管理
  • 消防で必要な物品購入
  • 感染性廃棄物の廃棄するためのリース契約
  • 消防で必要な消耗品を購入した商品の支払いをする
  • 消防で必要な物品を来年度も購入するため予算編成に対する資料作り

このように、やらなければならない仕事は多岐にわたります。例えば、皆が『現場で働きたい』と思っていても、誰かが給料管理などの仕事に従事しなければ、お金が支払われない状況に化してしまいかねませんよね。

だから、『その他の業務」とまとめてしまいましたが、会社を回すため無くてはならない超重要な仕事なのです。

以上が消防の根幹を担う消防の仕事です。

とはいえ、この他にも市民に訓練指導に行ったり、消防団の設備の維持管理など、業務はありますが、
ここでは根幹を担う消防の業務についての解説に絞らせていただきました。

それぞれの道を歩む現役消防士を紹介

ここからは、さらに深堀りします。

「どんな仕事をしているのかわかったけど、実際に仕事している人はどう思っているのだろう…」

こういう気持ちを持っている人も少なくないでしょう。

そこで、現役消防士が、それぞれの仕事をどのようにこなし、どのように感じながら過ごしているのかリアルな声を紹介していきます。

それぞれの道を歩む3人の現役消防士を紹介していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。

紹介する3人の現役消防士
  • 消防士から救急救命士へ|現場に出て感謝されることが仕事の励みに
  • 予防畑で十数年|消防設備を正しく見抜くことで多くの人の命を守る
  • 救助隊歴10年|自らやるプレイヤーからマネジメント能力も求められる立場に

消防士から救急救命士へ|現場に出て感謝されることが仕事の励みに

最初に紹介する消防士は、勤続十年目を迎える消防士。救急隊に配属され数年経過して、救急救命士資格を取り、現役で今も活躍している救急隊員の話です。

この方が語る救急隊とは、良い面は「人に感謝される仕事」悪い面は「精神的プレッシャーが強い仕事」です!

理由は、火災出動よりも救急出動の方が出動件数が多いことが挙げられます。これは、とある10万人都市の1年間の件数比較を見ると一目瞭然です。

火災出動:救急出動 = 16件:2939件

驚きの差ですよね。消防や救助の仕事より圧倒的に出動件数が多い。だから、消防職員として初めて会う人の回数は間違いなく多いです。

出動が多い分、出動した傷病者家族から感謝される機会も多く生まれます。

感謝の手紙が消防署に送られてくることもありますし、お礼に消防署訪問してくれた方もいました。
その感謝の言葉を受けたときが、『救急隊していてよかったな』と思える瞬間です。

逆に、出動が多い分さまざまな救急現場へ出動することになります。

命に関わる救急現場や、自分の家族を連想させられる救急現場にも出動することがあり、精神的プレッシャーを非常に強く感じます。

出動件数が多いことで得られる喜び。逆に、辛さもあります。ただ、救急の世界は奥が深いです。自分で学んだ医療知識が、自分の家族のことで活かせたこともあります。

例えば『熱性けいれん』です。小さい子供がよく起こす熱性けいれんを、自分の息子が起こした時も、救急でよく目にしていたので冷静に対応できました。

なにより、救急は感謝される仕事です。出動頻度が多い分、実感できる機会の多い仕事だと思います。

良い面「人に感謝される仕事」悪い面「精神的プレッシャーが強い仕事」とは、こういったことから感じているそうです。

予防畑で十数年|消防設備を正しく見抜くことで多くの人の命を守る

2人目に紹介する消防士は、消防士として現場で仕事するよりも、予防課で働いている年月の方が長い、予防課担当の消防士の話です。この消防士が語る予防とは、『正しい知識を学び指摘する仕事』です。

理由は、予防こそ火災発生を防ぐ最大の防御になっているからです。

火災件数は年々減ってきています。減っている背景には、消防設備の進化があると思いますが、正しい消防設備の設置・管理が行われていないと、この成果を出すことはできなかったでしょう。

それを当たり前のようにできているのは予防課員が正しい指導を行っているからです。

予防課に配属された当初はちんぷんかんぷんで、1つ1つ先輩から教えていただきました。今では、業者対応から、後輩職員の指導まで任せられる立場になりました。

消防設備は事業所の規模によって、必要な設備も異なります。新しい事業所が増えているので日々自己研鑽が必要です。

毎年、新しい知識を習得するため、予防技術検定を受講したり、新しい予防知識をアップデートしています。

※予防技術検定とは?

予防技術資格者になるための検定。消防本部及び消防署等の機関には、建築物の大規模化・複雑化等に伴い高度化・専門化する予防業務を的確に行うため、火災の予防に関する高度な知識及び技術を有する「予防技術資格者」を配置することとされている。

予防の仕事は、あまり目立たないですが、この業務なくして消防の仕事はなりえません。なければ、火災出動は毎年件数が増加し、生命や財産を失い悲しむ人を増やしてしまいます。

ですので、予防の仕事をしている現役消防士が、救急の仕事とは?と質問した結論は、正しい知識を学び指摘する仕事。『火災予防こそ最大の防御』なのです。

救助隊歴10年|自らやるプレイヤーからマネジメント能力も求められる立場に

最後に紹介する消防士は、救助隊として10年目を迎え、救助工作車から梯子車まで乗りこなせるオールマイティーな救助隊長の話です。

この消防士が語る『救助』とは、『教育、知識・技術の伝授』です。

理由は、救助隊のあり方が大きく関係しています。

救助隊は出動件数が少ない…だけど、災害が発生したら、救助資機材を駆使し、知識と技術を集約して困難な現場で救助活動を実行しなければいけません。

救助出動の内容は、多数傷病者の出る現場を対応したり、要救助者の重症度・緊急度の高い現場であることも多いです。

私が出動した現場を例に挙げます。

幹線道路で、バスを含む車両3台が関係する追突事故現場に出動したことがあります。指令内容は、『追突した車両の傷病者は脱出できておらず意識もない』との情報でした。

  • 多数の負傷者がいる可能性…
  • 閉じ込められている負傷者車両はあるのか?
  • 車は横転していないか?
  • オイル漏れなど二次災害の危険は?

こういった現場こそ、経験が物をいうのですが、若い職員は特に経験値が浅いです。

現場はいつ何時発生するかわかりませんし、『その場になればなんとかなる』なんて楽観視は絶対にできません。

だからこそ、救助隊員を教育するのです。現場で通用する知識・技術の伝授が必要不可欠になります。

数少ない救助現場経験の中で最大の成果を上げるために、必要なのは事前に訓練し、シミュレーションしておくことです。

また、経験を伝授するためにも、チームワークの強化は欠かさないよう努めています。最高のチームこそ、最大の仕事ができるからです。

ですので、救助の仕事は『教育、知識・技術の伝授』が重要なのです。

消防組織の規模に応じて業務も変わる

現場の声を聞いた上で、あなたなら消防士としてどの仕事がしたいですか?また、やりたくない仕事はありましたか?

もし、あなたが消防の仕事を全て網羅したいのであれば、消防職員数の少ない自治体を選択すればと良いと思います。

反対に、いずれかの部門を専門的に極めたいと思うなら、消防職員数の多い自治体を選択すれば良いと思います。

なぜなら、消防職員数が少なければ、職員数が限られており、様々な業務をこなさなければならず、消防職員数が多ければ多いほど、仕事が分散化されるためです。

とはいえ、これはあくまで確率論です。各消防本部の方針によっては、

  • 救急救命士資格のある職員は長期的に救急隊に配属されている
  • 一度、現場から総務課などの日勤に配属されると、5年、10年単位で戻れない

など、対応は異なります。また、トップが変わるだけで、方針が大きく異なることは結構あります。

そういった点は、注意してほしいです。それでも、確率だけで言えば、消防職員数の少ない消防本部の方が、消防士の仕事を全てやれる可能性は高まります。

おわりに

消防士の仕事内容は多岐にわたります。

仕事が多岐にわたるのは、それだけ消防の仕事が市民から必要とされているからです。

紹介してきた全ての業務が1つでも欠ければ、市民に不利益を与えてしまいかねません。

この記事を読んで、消防士の仕事が、少しでも身近になったと思ってくれる人がいれば幸いです。

著者:SU-E 編集:リムクロ

SU−Eさん、誠にありがとうございました。

SU-Eさんは、ご自身のブログやTwitterにおいて、たくさんの有益な情報を発信されています。消防士でなくても、消防や救急に関する情報は日常の知識として活きる場面が多々あります。

ぜひ、SU-EさんのブログやTwitterをフォローいただければと思います。

ブログ:消防士&救急隊員の1日sue-aのブログ

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