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解説

【初心者向け】基礎法学をわかりやすく解説①(効力・分類)

【初心者向け】基礎法学をわかりやすく解説①(効力・分類)

地方公務員は、多くの法律や条例規則を使いこなす必要がありますが、前提となる基礎法学を理解していない人がほとんどのように思えます。

基礎がわからないと応用が効かないのは法律の世界でも同じで、条文に書いてある文面の国語的理解ができても、本質的な法令理解ができず、正しい解釈に至っていないことが多いです。

このため地方公務員.comでは、法学初心者に向けた基礎法学に関する情報を発信し、法令を使いこなすためのお手伝いをしたいと考えております。

第1回目の本記事では、法の効力・分類について解説していきますので、参考となれば幸いです。

法の効力

日本の法が適用される範囲、日本の法の効力が及ぶ範囲については『人』『場所』『時間』に分けて考えられています。

  • 人:日本は『属地主義』を原則としており、例外としては『属人主義』『保護主義』という概念があります。また、天皇や摂政は刑事訴追を受けないとされています。
  • 場所:法は、領土・領海・領空に及び、領土には日本の船舶・航空機・公館も含まれます。
  • 時間:法は『不遡及』を原則としており、法令は施行後の事項についてのみ効力を有します。(法令は制定→公布→施行の手順で行い、法律は公布後20日を経過、条例は公布後10日を経過した日から施行されるもの)ただし、慣習法や判例法によるものは即時に効力を有します。
  • 属地主義(原則):国の領域内においては、日本人であるか外国人であるかを問わず、法律の適用があり、効力が及ぶ(国内でA国の外国人がB国の外国人を暴行した場合、日本の刑法が適用される)
  • 属人主義(例外):国民の行った行為については、場所を問わず、自国の法律を適用するという考え方(日本人が外国で住居に放火した場合や、日本人の公務員が職務に関して賄賂を受け取った場合は日本の刑法が適用される)
  • 保護主義:当事者の場所と人を問わず、国や国民の利益を保護する必要がある場合は自国の法律を適用するという考え方(通貨・クレジットカード等に関する偽造や内乱・陰謀などの国交に関する罪は日本の刑法が適用される)

ここでは全て刑法を例に出しましたが、会社更生法、児童買春、児童ポルノ禁止法等にも同様の取扱いの規定があります。

法の分類

法は形式、性質、内容等によって分類分けされており、同等の法規同士が矛盾・抵触した場合の優先度も、これを理解すれば問題なくわかるようになります。

成文法と不文法

成文法は、文章によって表記されたもので、一定の手続と形式に従って成立される法を言います。

成文法には序列が設けられており、下位の法規は上位の法規に反する定めを規定することができません。(上位法規の優越)

成文法の序列は、憲法>条約≧法律>政令・省令>規則(国)>条例>規則(自治体)です。

不文法は、一定の手続きと形式によらずに成立される法のことで、慣習法、判例法、条例などが挙げられます。なお、文章によらないものが多いため、不文法と言われています。

慣習法は、慣習に基づいて社会通念上成立した法のことで、法的確信を伴うものを指します。なお、日本の刑法は罪刑法定主義を前提としており、慣習法による余地はありません。

判例法は、日本と米国等の海外とでは効力が全くことなります。日本の判例は、1つの解釈として捉えられており、法的拘束力はありません。しかし、米国等では過去の判例が以後の判例を法的に拘束します。

条理は、物事の道理や道筋のことであり、裁判において成文法、慣習法、判例法のいずれにも存在しない事柄を判断する際の基準となる。

一般法と特別法

一般法は、適用対象を具体的に限定しない一般的な法を言います。

特別法は、適用対象が特定(限定)されている法を言います。

一般法と特別法は、相対的な区分であり、2つの法期間の関係性を指しています。

例えば、民法と商法では、民法が一般法で商法が特別法ですが、商法と消費者契約法では、商法が一般法で消費者契約法が特別法となります。

そして、一般法と特別法が矛盾・抵触した場合は、特別法が優先されます。

前法と後法(後法優越の原理)

法令が新たに制定されたり、改正されたりした場合は、後法が原則適用されます。(後法優越の原理)

強行法規と任意法規

強行法規は、法令の規定と異なる内容については、当事者の合意があっても認められないとする法規です。(例:時効利益の事前放棄等)

任意法規は、法令の規定と異なる内容について、当事者の合意があれば認められる法規です。(例:家賃の事前払い等)

公法と私法

公法は、国等の公権力や公益等の公的な規律や、国等と私人間の関係や規律に関する法のことを言います。(例:憲法・行政法・民事手続法・刑法・刑事手続法等)

私法は、私人間の関係を規律する法のことを言います。(例:民法、商法、会社法、知的財産法等)

なお、債権については公法上と私法上で時効完成までの年数が異なりますが、争っているケースが多く、迷ったら1事例ごとに判例を確認することをおすすめします。

民事法と刑事法

民事法は、私人間の権利義務関係及びそれに関する紛争解決を規律する法のことを言います。(例:民法、商法、民事訴訟法、人事訴訟法、仲裁法、民事保全法、民事執行法、倒産法)

刑事法は、犯罪と刑罰及びその手続きを規律する法のことを言います。(例:刑法、刑事訴訟法、裁判員法、更生保護法)

実体法と手続法

実体法は、権利義務の発生や変更、消滅といった目に見えない法律関係を定める法のことを言います。(例:民法、商法、刑法)

手続法は、実体法の内容を実現するための手続きを定めた法のことを言います。(例:民事訴訟法、不動産登記法、刑事訴訟法)

国内法と国際法

国内法は、国家法とも呼ばれ、国家がその主権の範囲内において単独で制定する法であり、主にその国内における法律関係を規律する法のことを言います。

国際法は、国家間や国家と国際機関との関係を規律する法のことを言い、条約と慣習国際法がこれに当たります。

基礎法学を身に付けて実務に役立てよう

本記事では、法令を正しく取扱うための前提知識として、基礎法学の一部を解説しました。

詳細を記憶する必要まではないと思いますが、法令と向き合う際には、ぜひ読み返していただけたらと思います。

また、わからないところがありましたら、応えられる範囲でお答えしますので、問合せフォームをご利用ください。

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第2回:【初心者向け】基礎法学をわかりやすく解説②(解釈・原理原則)

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