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コラム

香川県ゲーム条例について地方公務員ゲーマー視点から語りたい

香川県ゲーム条例について地方公務員ゲーマー視点から語りたい

ゲームを規制する条例は全国でも初めてであったため、注目を浴び、ニュースなどでも騒がれてかなり有名になりましたが、地方公務員の皆さんは、香川県のいわゆるゲーム条例についてどんな意見をお持ちですか?

『県が家庭のゲームを規制するなんてありえない』『ゲームは悪だから規制するべき』など、賛否両論、色々な意見があると思います。

しかし、この条例を実際に読んだ方がどれほどいるでしょうか?読まずに論ずるのは、面白みに欠けますよね。

このため、行政職員且つゲーマーの私が、この条例を公平に解説していきますので、ぜひ御一読ください。

もしかしたら、ゲーム条例へのイメージが変わるかもしれませんよ。

テーマは依存症対策

テーマは依存症対策

香川県ゲーム条例の正式名称は『香川県ネット・ゲーム依存症対策条例』です。

この条例には、おおむね次のようなことが規定されています。

  • インターネットやコンピュータゲームを過剰に利用することの弊害(学力・体力の低下、睡眠・視力障害などの身体的な問題)
  • 対策方法、社会全体で取り組む必要性(国:法や医療の整備、県:人材育成、家庭:見守り)
  • 基本理念(実施、支援、配慮、連携協力)
  • 責務(県、学校、保護者、対策従事者)
  • 国との連携(法令、施策、予防対策を要求)
  • 役割(県民、市町、事業者)
  • 連携協力体制による効果的な実施
  • 財政措置
  • 実態調査(条例施行3年間は毎年、その後は2年に1度)

項目を見るとわかりやすいと思いますが、ゲームを抑制するための条例ではなく、依存症対策のための条例です。

このため、ゲーム嫌いの大人が作った単にゲームを排除する条例とは、ニュアンスが異なります。

法的義務と努力義務

法的義務と努力義務

ゲーム条例で1番ニュースに取り上げられていたのは、『ゲームは1日60分まで』という部分だと思います。

条例でゲーム時間を制限するなんて驚いた!そんな意見が大半ですよね。

なので、これについて触れたいと思いますが、この問題に行く前に必要な予備知識として、法的義務と努力義務を先に解説します。

法的義務は単に義務とも言いますが、行政(公法)が課す法的義務には法的拘束力があり、作為又は不作為を強制的に負わせることができます。

また、法的義務を履行しない者に対しては、罰則を設けることで、法の実効性を確保する場合も多いです。

一方、努力義務は努力することに課されたものであり、実際の達成や履行は当事者の判断によるものとされており、直接的な罰則は設けられていません。

『義務』でありながら、実質的には『自由裁量』が与えられているのが努力義務なのです。

ただし、努力義務を欠いたことが原因で、損害が発生した場合は、結果として過失犯となる可能性はあります。

関連記事:【初心者向け】基礎法学をわかりやすく解説①(効力・分類)

関連記事:【初心者向け】基礎法学をわかりやすく解説②(解釈・原理原則)

ゲーム1日60分までは努力義務

ゲーム1日60分までは努力義務

『ゲームは1日60分まで』これは、条例第18条第2項に規定されていますが、あくまで努力義務規定です。

(子どものスマートフォン使用等の家庭におけるルールづくり)
第18条 保護者は、子どもにスマートフォン等を使用させるに当たっては、子どもの年齢、各家庭の実情等を考慮の上、その使用に伴う危険性及び過度の使用による弊害等について、子どもと話し合い、使用に関するルールづくり及びその見直しを行うものとする。
2 保護者は、前項の場合においては、子どもが睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身に付けられるよう、子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日当たりの利用時間が60分まで(学校等の休業日にあっては、90分まで)の時間を上限とすること及びスマートフォン等の使用(家族との連絡及び学習に必要な検索等を除く。)に当たっては、義務教育修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめることを目安とするとともに、前項のルールを遵守させるよう努めなければならない。
3 保護者は、子どもがネット・ゲーム依存症に陥る危険性があると感じた場合には、速やかに、学校等又はネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等に相談し、子どもがネット・ゲーム依存症にならないよう努めなければならない。

この条文を読んで私が要約すると、『子どもが依存症になりそうなら、ネットやゲームは1日60分を目安としてやめるルールを作り、家庭で守ってあげるのが良いですよ』と読みます。

この規定のポイントとして、『保護者は・・・子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、』という条件があり、60分ルールに乗っかるかどうかは家庭に任せているところです。

その上で、60分という具体的な数字があることで、健康に問題ないであろう範囲を示しているに過ぎないと私は思います。

『ゲームは1日60分まで』を『条例で規定』はさすがにインパクトが強いため、独り歩きしてしまったのでしょう。

実質的にはガイドライン?

実質的にはガイドライン?

この条例の立ち位置は、『権威あるガイドライン』だと思うのが現実的ではないでしょうか。

  • インターネットやコンピュータゲームを過剰に利用することの弊害(学力・体力の低下、睡眠・視力障害などの身体的な問題)
  • 対策方法、社会全体で取り組む必要性(国:法や医療の整備、県:人材育成、家庭:見守り)
  • 基本理念(実施、支援、配慮、連携協力)
  • 責務(県、学校、保護者、対策従事者)
  • 国との連携(法令、施策、予防対策を要求)
  • 役割(県民、市町、事業者)
  • 連携協力体制による効果的な実施
  • 財政措置
  • 実態調査(条例施行3年間は毎年、その後は2年に1度)

これらを規定することにより、子どもを依存症から守りたい気持ちが汲み取れます。

条例で規定することで財政措置も問題なくできますし、周知や啓発に力を入れることもできるでしょう。

中高生のときに平日8時間、土日15時間ゲームをしていた私から見ても、特に噛み付くような条例だとは思えません。

皆さんは、どうお考えになりますか?イメージ通りでしたか?

さらに詳しくご覧になる方のために、以下、条例全文も掲載しておきます。

また、コメントなどいただけたら嬉しく思います。

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(全文)

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例
令和2年3月24日
条例第24号

香川県ネット・ゲーム依存症対策条例
インターネットやコンピュータゲームの過剰な利用は、子どもの学力や体力の低下のみならずひきこもりや睡眠障害、視力障害などの身体的な問題まで引き起こすことなどが指摘されており、世界保健機関において「ゲーム障害」が正式に疾病と認定されたように、今や、国内外で大きな社会問題となっている。とりわけ、射幸性が高いオンラインゲームには終わりがなく、大人よりも理性をつかさどる脳の働きが弱い子どもが依存状態になると、大人の薬物依存と同様に抜け出すことが困難になることが指摘されている。
その対策としては、国において、他の依存症対策と同様に、法整備の検討や医療提供体制の充実などの対策を早急に講ずる必要があるが、県においても、適切な医療等を提供できる人材などを育成するため、研修体制の構築や専門家の派遣等の支援に取り組むことが求められている。
加えて、子どものネット・ゲーム依存症対策においては、親子の信頼関係が形成される乳幼児期のみならず、子ども時代が愛情豊かに見守られることで、愛着が安定し、子どもの安心感や自己肯定感を高めることが重要であるとともに、社会全体で子どもがその成長段階において何事にも積極的にチャレンジし、活動の範囲を広げていけるようにネット・ゲーム依存症対策に取り組んでいかなければならない。
ここに、本県の子どもたちをはじめ、県民をネット・ゲーム依存症から守るための対策を総合的に推進するため、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、ネット・ゲーム依存症対策の推進について、基本理念を定め、及び県、学校等、保護者等の責務等を明らかにするとともに、ネット・ゲーム依存症対策に関する施策の基本となる事項を定めることにより、ネット・ゲーム依存症対策を総合的かつ計画的に推進し、もって次代を担う子どもたちの健やかな成長と、県民が健全に暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) ネット・ゲーム依存症 ネット・ゲームにのめり込むことにより、日常生活又は社会生活に支障が生じている状態をいう。
(2) ネット・ゲーム インターネット及びコンピュータゲームをいう。
(3) オンラインゲーム インターネットなどの通信ネットワークを介して行われるコンピュータゲーム
(4) 子ども 18歳未満の者をいう。
(5) 学校等 学校教育法(昭和22年法律第26号)第1条に規定する学校(大学を除く。)、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第39条第1項に規定する保育所及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第6項に規定する認定こども園をいう。
(6) スマートフォン等 インターネットを利用して情報を閲覧(視聴を含む。)することができるスマートフォン、パソコン等及びコンピュータゲームをいう。
(7) 保護者 親権を行う者若しくは未成年後見人又はこれらに準ずる者をいう。
(基本理念)
第3条 ネット・ゲーム依存症対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) ネット・ゲーム依存症の発症、進行及び再発の各段階に応じた防止対策を適切に実施するとともに、ネット・ゲーム依存症である者等及びその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること。
(2) ネット・ゲーム依存症対策を実施するに当たっては、ネット・ゲーム依存症が、睡眠障害、ひきこもり、注意力の低下等の問題に密接に関連することに鑑み、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮がなされるものとすること。
(3) ネット・ゲーム依存症対策は、予防から再発の防止まで幅広く対応する必要があることから、県、市町、学校等、保護者、ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等が相互に連携を図りながら協力して社会全体で取り組むこと。
(県の責務)
第4条 県は、前条の基本理念にのっとり、ネット・ゲーム依存症対策を総合的に推進する責務を有する。
2 県は、市町が実施する施策を支援するため、情報の提供、技術的助言その他の必要な協力を行う。
3 県は、県民をネット・ゲーム依存症に陥らせないために市町、学校等と連携し、乳幼児期からの子どもと保護者との愛着の形成の重要性について、普及啓発を行う。
4 県は、子どもをネット・ゲーム依存症に陥らせないために屋外での運動、遊び等の重要性に対する親子の理解を深め、健康及び体力づくりの推進に努めるとともに、市町との連携により、子どもが安心して活動できる場所を確保し、さまざまな体験活動や地域の人との交流活動を促進する。
(学校等の責務)
第5条 学校等は、基本理念にのっとり、保護者等と連携して、子どもの健全な成長のために必要な学校生活における規律等を身に付けさせるとともに、子どもの自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るものとする。
2 学校等は、ネット・ゲームの適正な利用についての各家庭におけるルールづくりの必要性に対する理解が深まるよう、子どもへの指導及び保護者への啓発を行うものとする。
3 学校等は、校内にスマートフォン等を持ち込ませる場合には、その使用について、保護者と連携して適切な指導を行うものとする。
4 学校等は、県又は市町が実施するネット・ゲーム依存症対策に協力するものとする。
(保護者の責務)
第6条 保護者は、子どもをネット・ゲーム依存症から守る第一義的責任を有することを自覚しなければならない。
2 保護者は、乳幼児期から、子どもと向き合う時間を大切にし、子どもの安心感を守り、安定した愛着を育むとともに、学校等と連携して、子どもがネット・ゲーム依存症にならないよう努めなければならない。
3 保護者は、子どものスマートフォン等の使用状況を適切に把握するとともに、フィルタリングソフトウェア(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成20年法律第79号)第2条第9項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)の利用その他の方法により、子どものネット・ゲームの利用を適切に管理する責務を有する。
(ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者の責務)
第7条 医療、保健、福祉、教育その他のネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者は、県又は市町が実施するネット・ゲーム依存症対策に協力し、ネット・ゲーム依存症の予防等(発症、進行及び再発の防止をいう。以下同じ。)に寄与するものとする。
(国との連携等)
第8条 県は、国と連携協力してネット・ゲーム依存症対策の推進を図るとともに、ネット・ゲーム依存症対策に関して必要があると認めるときは、国に対し、他の依存症対策と同様に、法整備や医療提供体制の充実などの必要な施策とともに、ネット・ゲーム依存症の危険要因を踏まえた適切な予防対策の策定及び実施を講ずるよう求める。
2 県は、国に対し、eスポーツの活性化が子どものネット・ゲーム依存症につながることのないよう慎重に取り組むとともに、必要な施策を講ずるよう求める。
3 県は、県民をネット・ゲーム依存症から守るため、国に対し、乳幼児期からの子どもと保護者との愛着の形成や安定した関係の大切さについて啓発するとともに、必要な支援その他必要な施策を講ずるよう求める。
(県民の役割)
第9条 県民は、ネット・ゲーム依存症に関する関心と理解を深め、その予防等に必要な注意を払うものとする。
2 県民は、社会全体で子どもの健やかな成長を支援することの重要性を認識し、県又は市町が実施する施策に協力するものとする。
(市町の役割)
第10条 市町は、県、学校等、保護者、ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等と連携し、ネット・ゲーム依存症対策を推進するものとする。
(事業者の役割)
第11条 インターネットを利用して情報を閲覧(視聴を含む。)に供する事業又はコンピュータゲームのソフトウェアの開発、製造、提供等の事業を行う者は、その事業活動を行うに当たっては、県民のネット・ゲーム依存症の予防等に配慮するとともに、県又は市町が実施する県民のネット・ゲーム依存症対策に協力するものとする。
2 前項の事業者は、その事業活動を行うに当たって、著しく性的感情を刺激し、甚だしく粗暴性を助長し、又は射幸性が高いオンラインゲームの課金システム等により依存症を進行させる等子どもの福祉を阻害するおそれがあるものについて自主的な規制に努めること等により、県民がネット・ゲーム依存症に陥らないために必要な対策を実施するものとする。
3 特定電気通信役務提供者(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(平成13年法律第137号)第2条第3号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)及び端末設備の販売又は貸付けを業とする者は、その事業活動を行うに当たって、フィルタリングソフトウェアの活用その他適切な方法により、県民がネット・ゲーム依存症に陥らないために必要な対策を実施するものとする。
(正しい知識の普及啓発等)
第12条 県は、県民がネット・ゲーム依存症に陥ることを未然に防ぐことができるよう、必要な情報を収集するとともに、オンラインゲームの課金システムその他のネット・ゲームに関する正しい知識の普及啓発及び依存症教育を行う。
(予防対策等の推進)
第13条 県は、市町、学校等、保護者、ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等と連携し、県民がネット・ゲーム依存症に対する理解及びネット・ゲーム依存症の予防等に関する知識を深めるために必要な施策を講ずる。
(医療提供体制の整備)
第14条 県は、ネット・ゲーム依存症である者等がその状態に応じた適切な医療を受けることができるよう、医療提供体制の整備を図るために必要な施策を講ずる。
(相談支援等)
第15条 県は、ネット・ゲーム依存症である者等及びその家族に対する相談支援等を推進するために必要な施策を講ずる。
(人材育成の推進)
第16条 県は、医療、保健、福祉、教育その他のネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者について、ネット・ゲーム依存症に関し十分な知識を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずる。
(連携協力体制の整備)
第17条 県は、第12条から前条までの施策の効果的な実施を図るため、市町、学校等、保護者、ネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等の間における連携協力体制の整備を図るために必要な施策を講ずる。
(子どものスマートフォン使用等の家庭におけるルールづくり)
第18条 保護者は、子どもにスマートフォン等を使用させるに当たっては、子どもの年齢、各家庭の実情等を考慮の上、その使用に伴う危険性及び過度の使用による弊害等について、子どもと話し合い、使用に関するルールづくり及びその見直しを行うものとする。
2 保護者は、前項の場合においては、子どもが睡眠時間を確保し、規則正しい生活習慣を身に付けられるよう、子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピュータゲームの利用に当たっては、1日当たりの利用時間が60分まで(学校等の休業日にあっては、90分まで)の時間を上限とすること及びスマートフォン等の使用(家族との連絡及び学習に必要な検索等を除く。)に当たっては、義務教育修了前の子どもについては午後9時までに、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめることを目安とするとともに、前項のルールを遵守させるよう努めなければならない。
3 保護者は、子どもがネット・ゲーム依存症に陥る危険性があると感じた場合には、速やかに、学校等又はネット・ゲーム依存症対策に関連する業務に従事する者等に相談し、子どもがネット・ゲーム依存症にならないよう努めなければならない。
(財政上の措置)
第19条 県は、ネット・ゲーム依存症対策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努める。
(実態調査)
第20条 県は、子どものネット・ゲーム依存症対策を推進するため、この条例施行後3年間は毎年、その後は2年ごとに、本県におけるネット・ゲーム依存の実態に関する調査を行う。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和2年4月1日から施行する。
(検討)
2 この条例の規定については、この条例の施行後2年を目途として、この条例の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。

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