
この記事は、エクセル基礎の第3回目です。
今回は、約500種類ある関数の中から、実用性の高い20個を紹介していきます。
第1回で解説したとおり、無理に覚える必要はありません。
『こんな関数があるんだ!』と知り、『あの計算もエクセルで出来るんだ!』と認識していただければ十分です。
後は、Googleで検索すれば全てヒットするため、問題なく使用できます。
また、できれば第2回で解説したとおり、なるべくマウスを使用せずに取り組んでいただければ幸いです。
それでは、エクセル爆速化を目指して、実用性の高い関数を解説していきます。
Microsoft Officeは高価なため、私はKingsoft Officeを使用しています。(性能同等で価格半額以下)
関数を使うメリット
エクセルのような表計算ソフトでは、関数を用いることで、様々なメリットがあります。
使える関数が多い方がメリットは大きくなりますが、5個・10個の関数が使えるだけでも、十分にメリットは感じられるはずです。
また、どんな関数があるのかを知っておけば、検索することで調べられるため、全てを覚えようとする必要はありません。
この点は、一言一句覚えるよりも主旨を理解して使いこなす方が重要な『法令』と同様です。
この記事で紹介する20個を知っておくだけでも、十分に活用できますので、ぜひご覧ください。
関数を使うデメリット
関数を使うデメリットは本来ありませんが、『地方公務員ならでは』のデメリットを紹介します。
地方公務員は数年で担当者が入れ替わるため、業務で使用したエクセルは引き継ぎ事項となりますが、後任者が操作・保守をできないと意味を成しません。
組織としてエクセルに関する知識・技能を底上げするような機会は無いと思いますので、よくあり得る話です。
現在の管理職員の多くは、PCを使わずに役所人生の半分以上を過ごしてきていますので、PCを公務上の必須スキルだと認識していません。
このため、上司によっては『難しい関数禁止令』を発令される可能性もあるでしょう。
便利なエクセル関数20選
それでは、便利なエクセル関数を20個紹介していきます。
完全に理解しているものは飛ばしても大丈夫なので、わからないものがあれば、ご覧ください。
なお、初めて出てきた記号等は解説しますので、記号等がわからなければ、上から確認ください。
SUM(和・足し算)
=SUM(引数)
SUM関数は、足し算をするための関数です。使用方法は2つあります。
①セルを指定する:=SUM(A1,A2,A3,A4,A5)→A1とA2とA3とA4とA5を足す
②範囲を指定する:=SUM(A1:A5)→A1からA5までの範囲を足す
セルとセルの区切りは『,(コンマ)』、範囲を指定する場合は『:(コロン)』を使用します。
IF(条件一致・不一致)
=IF(論理式,真の場合,偽の場合)
IF関数は、条件に一致なのか不一致なのかで結果を変えられる関数です。例えば次のように使用します。
①A1が5以上なら○、5未満なら×と表示したい:=IF(A1>=5,”○”,”×”)
②A1が空白なら0を、空白以外なら1を表示したい:=IF(A1=“”,0,1)
不等号は『>(だいなり)』と『<(しょうなり)』を、等号は『=(イコール)』を使用します。
数字や関数以外の文字列は『”(ダブルクオーテーション)』で囲みます。
空白は『””』と表現します。
SUMIF(条件付き足し算
=SUMIF(範囲,検索条件,合計範囲)
SUMIF関数は、条件に一致するものだけを足し算できる関数です。例えば次のように使用します。
【前提条件】A列に職員名、B列に手当額が入力されている。
①田中の手当を合計したい:=SUMIF(A:A,”田中”,B:B)
②C1に入力した職員の手当を合計したい:=SUMIF(A:A,C1,B:B)
1列全てを範囲とする場合は、『A:A』のように入力します。
1行全てを範囲とする場合は、『1:1』のように入力します。
MAX(最大値)
=MAX(数値1,数値2,数値3,…,数値254)
MAX関数は、指定した数値の中から最大値を求めます。例えば次のように使用します。
①セルを指定する:=MAX(A1,A2,A3,A4,A5)
②範囲を指定する:=MAX(A1:A5)
MIN(最小値)
=MIN(数値1,数値2,数値3,…,数値254)
MIN関数は、指定した数値の中から最小値を求めます。例えば次のように使用します。
①セルを指定する:=MIN(A1,A2,A3,A4,A5)
②範囲を指定する:=MIN(A1:A5)
AVERAGE(平均値)
=AVERAGE(数値1,数値2,数値3,…,数値254)
AVERAGE関数は、指定した数値の中から平均値を求めます。例えば次のように使用します。
①セルを指定する:=AVERAGE(A1,A2,A3,A4,A5)
②範囲を指定する:=AVERAGE(A1:A5)
RANK(順位)
=RANK(数値,参照,順序)
RANK関数は、参照範囲の中で指定した数値の順位を求めます。例えば次のように使用します。
①上から数えた順位:=RANK(A1,A1:A6,0)
②下から数えた順位:=RANK(A1,A1:A6,1)
ROUND(四捨五入)
=ROUND(数値,桁数)
ROUND関数は、数値を指定した桁数で四捨五入します。例えば次のように使います。
①消費税の1円未満の端数を四捨五入したい:=ROUND(A1*0.1,0)
②千円未満は四捨五入したい:=ROUND(A1,-2)
③5人の給料の平均を少数第3位で四捨五入したい:=ROUND(SUM(A1:A5)/5,2)
掛け算をする場合は、『*(アスタリスク)』を使います。
割り算をする場合は、『/(スラッシュ)』を使います。
桁数は、『0』を起点にマイナスなら桁が大きくなり、プラスなら桁が小さくなります。
ROUNDUP(切り上げ)
=ROUNDUP(数値,桁数)
ROUNDUP関数は、数値を指定した桁数で切り上げします。例えば次のように使います。
①消費税の1円未満の端数を切り上げしたい:=ROUNDUP(A1*0.1,0)
②千円未満は切り上げしたい:=ROUNDUP(A1,-2)
③5人の給料の平均を少数第3位で切り上げしたい:=ROUNDUP(SUM(A1:A5)/5,2)
ROUNDDOWN(切り捨て)
=ROUNDDOWN(数値,桁数)
ROUNDDOWN関数は、数値を指定した桁数で切り捨てします。例えば次のように使います。
①消費税の1円未満の端数を切り捨てしたい:=ROUNDDOWN(A1*0.1,0)
②千円未満は切り捨てしたい:=ROUNDDOWN(A1,-2)
③5人の給料の平均を少数第3位で切り捨てしたい:=ROUNDDOWN(SUM(A1:A5)/5,2)
COUNT(数値セル等を数える)
=COUNT(数値1,数値2,数値3,…,数値254)
COUNT関数は、数値・日付・時刻のセルの個数を求めます。例えば次のように使います。
①セルを指定する:=COUNT(A1,A2,A3,A4,A5)
②範囲を指定する:=COUNT(A1:A5)
COUNTA(空白以外のセルを数える)
=COUNTA(数値1,数値2,数値3,…,数値254)
COUNTA関数は、空白以外のセルの個数を求めます。例えば次のように使います。
①セルを指定する:=COUNTA(A1,A2,A3,A4,A5)
②範囲を指定する:=COUNTA(A1:A5)
COUNTIF(条件一致のセルを数える
=COUNTIF(範囲,検索条件)
COUNTIF関数は、条件に一致するセルの個数を求めます。例えば次のように使います。
①A列から田中の個数を求めたい:=COUNTIF(A:A,”田中”)
②A列から5以上の個数を求めたい:=COUNTIF(A:A,”>5″)
EXACT(文字列一致・不一致)
=EXACT(文字列1,文字列2)
EXACT関数は、2つの文字列が一致しているかを確認します。例えば次のように使います。
A1とA2が一致しているか確認したい:=EXACT(A1,A2)
VLOOKUP(縦検索)
=VLOOKUP(検索値,範囲,列番号,検索方法)
VLOOKUP関数は、
①範囲の先頭列を縦方向に検索して
FALSE(完全一致):検索値に一致する値を探し、
TRUE(近似一致)検索値以下の最大値を探し、
②見つかったセルと同じ行の、列番号にあるセルの値を求めます。
※VLOOKUP関数は、FALSE(完全一致)とTRUE(近似一致)の選択により、検索する値が異なります。
例えば次のように使います。
【前提条件】A列に職員名、B列に給料、C列に年齢が入力されている。
①田中の給料が知りたい:=VLOOKUP(“田中”,A:B,2,FALSE)
②給料が30万円以下で1番高い職員の年齢を知りたい:=VLOOKUP(300000,B:C,2,TRUE)
IFERROR(エラー回避)
=IFERROR(値,エラーの場合の値)
IFERRORは、値がエラー値が『#DIV/0!・#N/A・#NAME?・#NULL!・#NUM!・#REF!・#VALUE!』のいずれかの場合に、指定の値を表示させることができます。例えば次のように使います。
給料30万円以下の職員がいない場合:=IFERROR(=VLOOKUP(300000,B:C,2,TRUE),”全員30万円以上”)
SUBTOTAL(集計)
=SUBTOTAL(集計方法,参照1,参照2,…,参照254)
SUBTOTAL関数は、集計方法を指定することで、様々な集計を行うことが出来る万能的な関数です。
SUBTOTAL関数は、フィルター機能で非表示にした数値を集計に含めませんが、手動で非表示にした数値を集計するかしないかを指定することができます。
集計方法は、次のとおりです。(1桁が手動非表示を集計に含み、3桁がを含まない)
1(101):AVERAGE
2(102):COUNT
3(103):COUNTA
4(104):MAX
5(105):MIN
9(109):SUM
滅多に使わない集計方法は省略しました。
SUBTOTAL関数は、例えば次のように使用します。
①A列のフィルター機能で非表示にしていない数値セルの平均値を求めたい:=SUBTOTAL(1,A:A)
②A列の表示されている数値セルの最大値を求めたい:=SUBTOTAL(104,A:A)
TODAY(現在の年月日)
=TODAY()
TODAY関数は、現在の年月日を求めます。次のように使います。
=TODAY()
NOW(現在の年月日時刻
=NOW()
NOW関数は、現在の年月日及び時刻を求めます。次のように使います。
=NOW()
DATEDIF(年数・月数・日数)
=DATEDIF(開始日,終了日,単位)
DATEDIFは、年数・月数・日数を計算することができます。DATEDIF関数で使用できる単位は次のとおりです。
Y:満年数
M:満月数
D:満日数
YM:1年に満たない月数
YD:1年に満たない日数
MD:1月に満たない日数
DATEDIF関数は、例えば次のように使います。
【前提条件】A1に誕生日、A2に20歳の誕生日が入力されている。
①20歳になるまでの日数が知りたい:=DATEDIF(A1,A2,”D”)
②今日現在の年齢を知りたい:=DATEDIF(A1,TODAY(),”Y”)
実用的な関数は使っていれば身に付く
この記事で紹介した関数は、実用的なものばかりをチョイスしました。
実用的な関数は、単なる知識とは異なり、すぐにでも業務に活用することができます。
業務に活用することができれば、いつもその関数を目にすることとなるため、自然と苦労せずに身に付くものです。
時間があるときに『どの関数がどの業務に役立つかを考え、ひらめいたら関数を使用してみる』これを繰り返すことが実用的な関数を身に付ける1番良い方法と言えます。
関数を使い倒し、業務の効率性や正確性を向上させることができれば、ワンランクUpできるはずです。
自分のために、組織のために、住民のために、関数を使いこなせる地方公務員を目指しましょう!


